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米国株は「2029年まで続く超長期上昇トレンド」の第2ステージに入った=江守哲

私は目先の動きを気にしていません。もっと先を見ています。以前から申し上げているように、米国株は上昇し始めると17年間はそのトレンドが続く傾向があるのです。(江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2017年4月3日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

目先の材料に一喜一憂は不毛、かつてない大相場が始まっている

米国株式市場~心配無用

米国株は上昇しています。特にナスダック指数とS&P500は堅調です。

米国株の動きを語るとき、多くの人がダウ平均株価で語ります。それ自体は間違ってはいないのですが、実際にはS&P500やナスダック指数の動きの方が明らかに堅調です。そして、これらの指数の方が数多くの銘柄をカバーしています。

ですので、より本質的な米国株の動きを見るには、まずはS&P500の動きを見て、さらにナスダック指数を見るのが賢明と考えています。これらの指数はきわめて堅調ですので、全く心配していません。

しかし、この1週間ほどは、市場関係者がとにかくトランプ政権の将来性に対する不安を煽るような報道を繰り返しました。まさに「それ見たことか」と言わんばかりのけなしぶりです。

オバマケア見直し法案を撤回しただけで、何を言っているのか、というのが私の考えです。ですので、下げれば喜んで買い増しをしました。そうすると、あっという間に戻りました。

このような、近視眼的な方々の意見は聞かないことにしています。全く本質とは異なりますので。医療保険制度改革(オバマケア)見直し法案が見送られれば、それだけでコストが削減できます。悪い話ではありません。

それでも、トランプ大統領の政権運営能力に対する懸念は根強いようです。オバマケア代替法案の扱いや、税制改革の実現性を見極めるため、市場は新たな手掛かりを待っているようです。

いまは何もしないほうがよいトランプ

しかし、それは不毛な時間になるだけでしょう。

また、税制改革インフラ投資にしても、本来は景気が悪化しているような時期にやるべき政策です。むしろ、いまは何もしない方がよいくらいでしょう。これだけ景気が良いわけですから。

トランプ大統領はオバマケア代替法案の可決を阻止した共和党保守派議員に対して、「重要政策の立法化をこのまま阻害し続ければ、次回の議会選挙で敗北に追い込む」とけん制したと報じられています。

トランプ氏はツイッターで、党内の保守派下院議員で構成する「フリーダム・コーカス」のメンバーに対して、「フリーダム・コーカスが早急にチームに協力しないなら、共和党の政策課題をすべて損なう。われわれは18年に彼らと民主党と戦うべきだ」と発言したようです。

これもまた余計なことです。何もしなければよいのに、自尊心を傷つけられたのでしょう。

一方、フリーダム・コーカスのジャスティン・アマシュ議員は「大半の人はいじめを快く思わない」と反論し、「小学5年生なら思い通りになって建設的かもしれないが、政府はこうは機能しない」と糾弾しています。

これもまたひどい言い方ですね(笑)。トランプ大統領が尊敬されていないことの証左といえます。

これに対してライアン下院議長は、「大統領の不満は理解できるし、共有する」とし、共和党内で対話継続を促すとしています。

さらにライアン氏は、共和党内の意見の対立を受けて、「トランプ大統領が民主党と協力して選挙公約の実現を目指す事態を懸念している」とし、「そうした状況は望まない」としています。

トランプ大統領はこれまで自説を押し通す戦略で、権力を振りかざしてきましたが、結果的に上手くいっていないようです。もう少し柔軟に対応し、現実路線になれば、米国への評価はさらに高くなるのに、と思わざるを得ません。

貿易戦争は「場外ショー」

また、トランプ政権はオバマケア見直し法案での失敗を取り返すべく、米通商代表部(USTR)が外国の貿易障壁に関する年次報告書を発表し、慢性的な過剰生産能力や強制的技術移転などを指摘して中国を非難しています。

さらに、トランプ大統領も貿易に関する大統領令に署名するなど、貿易戦争に矛先を向けており、強硬姿勢を貫いています。

トランプ政権は貿易の是正に厳しい姿勢で臨むと強調するなど、これまでに失墜した政権への信頼回復を図ろうとしています。その上で、貿易赤字に関連して中国の巨額の貿易黒字を批判し、強硬政策の矛先を中国に向けるなど、市場に不安感が広がる可能性があります。

米中首脳会談も控える中、市場がこれらの言動を不安視するようでれあれば、再び株式やドルが売られ、金に投資家の関心が向かうことも想定されます。

しかし、よくまあここまで、強硬姿勢を続けるかなぁと思います。もう少し柔軟に対応した方が、最終的には上手くいくように思うのですが、これがこれまで成功していたトランプ流なのでしょうから、仕方がないですね。

まあ、政治の混乱で経済がおかしくなるとは考えていませんので、あくまで場外ショーぐらいにしか捉えていませんが(笑)。

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