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米国株は「2029年まで続く超長期上昇トレンド」の第2ステージに入った=江守哲

米国の景気は堅調

一方、市場が気にしている点に、FRB高官の発言があります。しかし、これも結論から言えば、繰り返しているように、市場は気にしすぎだと思います。

先週もいろんな方が、今後の金融政策や利上げペースについて言及しました。市場はそれを気にするそぶりを見せていましたが、そのような発言を今の時期に気にしていても、仕方がありません。

FOMCでの政策決定がすべてです。まして、投票権を持たない地区連銀総裁の発言は、ほとんど無視してよいと思います。

FRB関係者の様々の発言が市場を動かすわけですが、それは一過性のものにすぎません。そのような声に振り回されず、本質的な意見だけに耳を傾けることが肝要です。

一方で、景気は堅調です。昨年10~12月期の米実質GDP確定値は年率換算で前期比2.1%増と、改定値の1.9%増から上方修正されました。

GDPの約7割を占める個人消費が3.5%増(改定値は3.0%増)と堅調だったことに注目が集まりました。

GDP統計で米国経済の力強さが確認されたことから、市場に買い安心感が広がり、30日の株価は上昇しました。

前期比でのプラスは11期連続です。大きな伸びとなった7~9月期の3.5%増からは減速しましたが、GDPの約7割を占める個人消費は堅調さを維持しており、米国経済の力強さが改めて示されたといえるでしょう。

米国経済の拡大は3月末で93カ月となりました。第1四半期(1月~3月)も堅調だったとの見方が多いようです。

過去平均は95カ月であり、そろそろ景気拡大は終了するとの声もあります。

しかし、現時点では、過去3回の景気拡大が終了した背景であるバブルが見られないことや、ハイテクバブル時には120カ月の景気拡大があったことを考慮すれば、今回は19年半ばまで現在の拡大基調が続いてもおかしくないでしょう。

今の段階で、米国景気はピークアウトしたので、株価も下げると考えるのは短絡的でしょう。

一方、米国債の利回りは抑制されています。 2.5%を下回っており、過熱した状態にはありません。

おそらく、今後はインフレ率の上昇も抑制されるでしょう。原油価格の上昇基調が鈍いからです。せいぜい2%から2.5%の間で推移すると考えています。そうなれば、FRBが利上げする理由もなくなります。

また、米国経済成長は堅調ですが、経済成長率が過去のように3%台に大幅に上昇することもないでしょう。

そうであれば、景気の過熱も抑制され、国債利回りの上昇ペースもかなり緩慢なものになるでしょう。

また、オバマケア代替法案の撤回を受けて、トランプ政権が税制改革などでも大きな課題に直面する可能性があるとの見方も金利上昇を抑えるでしょう。減税やインフラ投資が見送られれば、財政悪化が避けられるとの思惑から、金利は上昇しづらくなると思われます。

そうなれば、配当利回りとの比較で株価はまだ高値を維持してもよいとの判断になります。

あと10年以上続く超長期上昇トレンドを捉えよ

もっとも、私は目先の動きを気にしているわけではありません。もっと先を見ています。

以前から申し上げているように、米国株は上昇し始めると17年間はそのトレンドが続く傾向があります。

今回の上昇トレンド入りは2012年であり、ここから17年間上昇するとすれば、2029年まで続くことになります。目先の上下に振り回される必要は全くない、というのが私の考えです。

過去のダウ平均の年率騰落率は平均で8.75%であり、このペースで上昇すれば、2029年には58800ドルになる計算です。現在の2.8倍という、ものすごい上昇率です。この考え方が米国株への投資では重要だと考えています。あとは継続するだけです。

米国株は2029年までの超長期上昇トレンドの第2ステージに入ったばかりとの認識です。

過去のデータでは、米国株投資で10年以上保有できれば、最低でも2倍のリターンは確保できています。このように考えると、目先の材料や市場の懸念を気にするのが、本当に不毛に思われます。

米国株を長期的に見ながら、押し目を拾っていくのが株式投資の王道であると思います。このような長期的に安定したリターンは、残念ながら日本株では得ることができません

これは紛れもない事実です。日本の証券業界関係者がもっとも触れてほしくない事実ともいえるでしょう。われわれは長期的なトレンドを重視し、本質的な材料をしっかりとみていくようにしましょう。

下に4月のレンジを掲載しておきます。今年は見事に強気トレンドのレンジに入っていますね。今年は想定以上に市場が正確に動いてくれています。ぜひご確認ください。

4月は上昇しやすい月です。強気に見て、21600ドルまでの上昇を想定しておきたいと思います。

【ダウ平均株価:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ19310ドル~23185ドル(17年末22870ドル)/弱気シナリオ16050ドル~20195ドル(17年末17850ドル)

【ダウ平均株価:4月の想定レンジ】

強気シナリオ20370ドル~21605ドル/弱気シナリオ18535ドル~19970ドル

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