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一気に世界株高・外貨高。しばらく堅調地合いの持続を予想=馬渕治好

盛りの花~世界経済・市場の注目点

外国人投資家の、日本の経済政策に対する、失望と期待

5月頃までの外国人投資家の間では、日本の経済・金融政策に対する期待が、行き過ぎていたように感じました。当メールマガジンでも何度か取り上げましたが、たとえば日銀はもうサプライズなどは打ち出すことができない、と筆者が説明しても、そんなことはない、黒田はサプライズをうつに決まっている、という反応でしたし、次回の補正予算は5兆円程度だろう、と述べると、何を根拠にそんな小さな額しかないと言うのか、と、半ば激高したような反応もありました。

そうした勝手な過度の期待が、6月には勝手に過度な失望に化けたような感があります。

きっかけとしては、まず6/1(水)に、安倍首相が消費増税の再延期を会見で表明する、といった際に、海外投資家投資家の一部は勝手に「その時に具体的に補正予算は20兆円、と、大々的に表明するのではないか」と決めつけている向きもありました。筆者のところに、「谷垣のスタッフが20兆円だと言っているのを聞いた、それなのに馬渕は何故そうした大規模な補正を否定するのだ、いったい自民党の誰にそんな話を聞いたのだ」と言ってくるような、全く眉唾物の怪情報を信じきっている向きもありました。

しかし実際に6/1(水)は、安倍首相は、消費増税の再延期以外には、秋辺りに経済対策を打つ、と一言言っただけで、具体的には何も述べなかったので、外国人投資家は梯子を外されたと逆恨みしたようです。

また6/2(木)には、佐藤日銀審議委員が、マイナス金利が逆効果を産んでいる、と講演で述べました。佐藤氏は以前からそういった主張を繰り返していますので、全く驚く話ではないのですが、日銀の追加緩和に過度の期待を抱いていた外国人投資家は、「これではマイナス金利の幅の拡大など、ありえない」と、勝手に失望したわけです。

6月下旬にかけて、日本株が下落した背景には、多くの要因がありましたが、こうした外国人投資家の失望も、1つの大きな背景理由であったように思います。

こうして海外投資家は、失望の淵に沈んでしまったわけですが、参院選前には、筆者は英文の海外投資家向けメモで、「9月26日の臨時国会で、第二次補正予算が審議される予定になってきたから、8月辺りに、経済対策の概要が固まる可能性が高まった」「英国のEU離脱による市場波乱や、物価見通しの下方修正を口実に、日銀が7月に追加緩和を行なうと見込む」と述べました。

すると、それを読んだ海外投資家からは、「そんな経済対策など、どうせ大したことはないだろう」「7月に緩和なんかしないに決まってるじゃないか」と、極めて悲観的な反応が多く寄せられました。いかに海外投資家の考えが、極端から極端に振れたかがわかります。

ところが、過ぎし花で述べたように、参院選後、安倍首相はすぐに景気対策策定に着手しました。また、7/28(木)~7/29(金)の日銀の金融政策決定会合で、追加緩和が行なわれるとの観測が市場で強まっています。このため、今度は失望しすぎた外国人投資家が、適度な政策期待に揺り戻されているという状況です。これが、先週の日本株の上昇に寄与していると推察しています。

Next: 黒田日銀が「ヘリコプターマネー」を実施することはあり得ない?

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