投信にかかる費用は?
投信に主にかかる費用は、以下の3種類になります。
- 投信を購入する際にかかってくる費用(販売手数料)
利用する会社や銘柄によってだいたい1.05~4%程度かかります。最近は「ノーロード投信」という、販売手数料が0%(無料)の投信も登場しています。 - 投信を運用するためのコスト(信託報酬)
投信を運用するためのコストのことです。これも商品によって差があり、年0.5%~3%ほどかかりますが、同じ商品であれば、どこで買っても手数料は同じになります。これは保有している期間中、毎年かかります。 - 解約時にかかる費用(信託財産留保額)
解約時にかかる手数料のことです。投信はさまざまな「株」や「債券」を運用しており、それらを換金するには費用がかかります。これらの費用を、解約する人から「信託財産留保額」という形で徴収します。だいたい元本の0.5%~1%くらいかかるのが一般的ですが、無料のものもあります。
その他、実質コストが別途かかるものもありますので、この3種類だけではなく、運用報告書などもよく確認することが大切です。一般的に、名の通った金融機関では、上記の手数料が(1)~(3)までフルにかかります。一方で、手数料を一部なくしたり、低く抑えられている投信もあります。
いろいろな投信~手数料が低めの商品も
(1)インデックス投信
投信は、ベンチマークと呼ばれる日経平均株価や東証REIT指数などを主な指標として運用されています。
普通に考えると、「運用パフォーマンスが上がれば上がるほどいい」と思われるかもしれませんが、実際は、各銘柄が市場の動きとまったく無関係な動きをするということは考えにくく、また目標があった方が的外れな運用になりにくい、といったことです。
投信には、大きく分けてアクティブ型とインデックス型があります。
アクティブ型というのは、簡単にいってしまうと、ベンチマークを上回ることを目指して積極的な運用を行うことです。運用のためには調査や管理などで手間暇がかかるため、コストが高くつきます。
それに対してインデックス型は、ベンチマークに連動させることを目的に運用されています。アクティブ型の積極運用に対して、インデックス型は穏健運用といったところです。
インデックスの運用は、基本的に東証平均などに連動させればいいので、組み入れる銘柄も決まっており、運用に手間がかからないため、その分手数料が安く設定されています。ただし、いくら手数料が安いといっても、日経平均自体が右肩下がりになった場合は、インデックスの運用も同じ曲線を描き、マイナスに陥る可能性があります。
とはいえ、もともと市場には必ず上昇期と下降期があるため、長期的なスパンで見た場合、結局はインデックス投資の方が、アクティブ投資よりも運用成績がよくなる場合が多いようです。
(2)ETF投信(上場投信)
ETFは上場投信といって、証券取引所に上場している投信のことです。
普通の投信では、委託者(運用会社)が運用を行い、それを販売会社(証券会社や銀行など)が販売する形となっています。一方、ETFの場合は証券市場を通じて、投資家同士が直接取引を行っており、間に販売者がいない分だけ、手数料が安く済んでいます。
ETFは、証券会社は仲介をしているだけであり、連動する銘柄を組んでしまえば、コストはほとんどかからない形式になっています。インデックスと同じく、市場に連動した値動きをしますが、価格はリアルタイムで変動し、即時売却可能です。
ETFは上場しているため、購入単位が金額ではなく、口数単位(株と同じ)となり、一回の最低投入金額が投信よりは大きくなります。また、配当金を自動では再投資できません。配当金を再投資するには、口数単位に満たなかったり、手数料がかかったりすることがあります。
(3)J-REIT(ジェイリート:不動産上場投信)
ETFと同じく、証券取引所に上場している投信です。ファンドで不動産を主に購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。対象不動産はオフィス用物件、マンション、商業施設、ホテルなど多岐に渡ります。不動産を扱いますが、法律上は投資信託の仲間になります。
REITの特徴は、「不動産投資法人」の形式をとっていることです。J-REITは一定の条件を満たせば実質的に法人税がかからず、「内部留保」もないので、一般の株などに比べて、収益がほぼそのまま分配金として出やすい金融商品になっています。
不動産はもともと性質上、流動性が低く、また投信のように、随時投資家の求めに応じて購入・売却などがしづらい商品です。そのため、J-REITは証券取引所に上場し、流動性を確保しています。ETFと同じく、証券市場での取引が行われ、価格の決まり方や、取引の仕方は、上場株式と同じです。
REITのデメリットとしては、実物資産でありながら、所有することができないこと、また投資対象が、実際は不動産法人であるため、法人の倒産リスクなどが考えられます。
(4)ノーロード投信
購入時に販売手数料がかからない投信です。購入時の費用を抑えることによって敷居を低くし、買いやすくしているわけですが、通常の投信と比べてかかる費用が安く済むのかというと、必ずしもそうとは限りません。
販売手数料がない分、信託報酬が高くなっている場合などもありますので、費用はトータルに見ていくことが大切です。
ここでちょっと例を見てみましょう。
例えばここに、「ノーロード型○○投信」と「通常型××投信」があったとします。「ノーロード型○○投信」の販売手数料が0%で、「通常型××投信」の販売手数料が3.5%であっても、信託報酬が「ノーロード型○○投信」3%、「××投信」1%だった場合は、下記となります。
ノーロード型○○投信 | 通常型××投信 | |
---|---|---|
販売手数料 | 0% | 3.5% |
信託報酬 | 3% | 1% |
1年目の合計 | 3% | 4.5% |
2年目の合計 | 6% | 5.5% |
3年目の合計 | 9% | 6.5% |
上記の通り、2年目以降は通常型投信の方が安くなることもありますので、注意が必要です。
一般的に、手数料が高い投信の傾向とは、
- 距離的に遠いもの(海外の投信など)
- 内容が複雑なもの(複雑=多くの仲介業者が入っているということ)
といった特徴があります。
投信は、基本的には「運用をお任せする」というスタイルではありますが、結局のところ、どこに依頼するのかといったことや、コストとのバランス、また依頼するに見合うだけのリターンを得られるのかなどの判断は、自分でしないといけないということです。