ウォルマートの業績に不安はあるのか?
ウォルマートはあまり馴染みのない企業かもしれませんが、日本では西友として展開しています。今から14年前の2002年に、西友はウォルマートの傘下に入りました。
西友は経営スタイルをウォルマート流に転換させ、「エブリディ・ロープライス(毎日×安い)」を掲げて営業しています。
日本のスーパーは定期的にセールを開催して、人を集める手法が主流なので、西友(ウォルマート)のコンセプトは他社とは異なります。
日本ではあまり目立っていませんが、ウォルマートは小売業で売上高、利益共に世界一の企業です。
さらに小売業に関わらず全業種の中で売上高が世界最大という、とてつもなく大きな企業となっています。
<ウォルマート 売上高の推移>
2012年1月 4465億ドル
2013年1月 4686億ドル
2014年1月 4762億ドル
2015年1月 4856億ドル
2016年1月 4821億ドル
過去5年で売上高が約8%上がっており、概ね上昇傾向です。日本円(1ドル=100円)で48兆円の売上高となるので、本当に巨大な企業だとイメージができるでしょう。
参考までに日本で第1位のイオンの売上高が8.1兆円、第2位のセブン&アイ・ホールディングスが6兆円です。ウォルマートはイオンの5倍以上の規模を誇ります。
事業は今でも拡大し続けており、バフェットが保有株数を減らした理由は見当たりません。
ウォルマートのROEはどうなっているのか?
バフェットはROEを重視します。ROEとは
「1株あたり利益(EPS)÷1株あたり株主資本(BPS)」
で求められる指標です。
この指標は、株主の資金を使ってどのくらいの利益を上げられるか?を表しています。自動車でいう「燃費の良さ」だと思ってください。
12年前の2004年からのROEをチェックしてみましょう。
<ウォルマート EPS BPS ROE(2012~2016年)>
2004年1月 2.41ドル 11.67ドル 21%
2005年1月 2.63ドル 12.77ドル 21% ←バフェット初購入
2006年1月 2.92ドル 14.91ドル 20%
2007年1月 3.16ドル 16.26ドル 19%
2008年1月 3.42ドル 16.63ドル 21%
2009年1月 3.66ドル 18.69ドル 20%
2010年1月 4.07ドル 19.49ドル 21%
2011年1月 4.45ドル 20.86ドル 21%
2012年1月 4.54ドル 20.86ドル 22%
2013年1月 5.02ドル 23.04ドル 22%
2014年1月 4.86ドル 23.59ドル 21%
2015年1月 4.98ドル 25.21ドル 20%
2016年1月 4.58ドル 25.47ドル 18%
1株あたり利益(EPS)、1株あたり株主資本(BPS)が毎年、伸びています。ウォルマートはまさに「教科書的バフェット銘柄」です。
しかし、2016年1月のROEは珍しく2ポイント落としました。バフェットが投資を開始してから、初めての落ち込みです。
ただ、売上高、利益とも上昇しており、全体として大きく落ち込んだわけではありません。