「漁夫の利」を得たJR東日本
iPhone7の登場で具体的にどんなことが起きるのか、考えてみましょう。
iPhone7にFeliCaが載ったことで、FeliCaが大きな力を持つのは間違いありません。しかし、いずれNFCの勢力の巻き返しがあります。日本独自規格のiphone7にはFeliCaのほかに、NFC(タイプA・タイプB)も同梱されていますから、準備が整ったら、いつでもVISAのpayWaveやMasterCardのコンタクトレス(旧名:PayPass)といった新ツールを始めることができます。
そうなったときには、iDやQUICPayに頼らなくてもスマホでの決済サービスができるようになり、iD・QUICPayバブルが弾けることになります。そのとき、勇み足をしたクレジットカード会社や関連企業はどうなるのでしょうか。
また、逆にNFCのインフラを作り上げたとしても、FeliCa方式で結構と思う人が多くいて、思いのほか利用者が伸びないとなると、盟主のVISAにとってはゆゆしき事態です。
そして、どちらに転んでも高笑いなのは、Suicaを擁するJR東日本とアップルでしょう。
日本のスマホユーザーの4割がiPhoneの利用者です。Suicaは5700万枚発行されており、モバイルSuicaの会員数は365万人です。仮に日本のスマホユーザー数を5000万人とすると、iPhoneの利用者は2000万人になります。このうちの10%がSuicaを載せるとすれば、モバイルスイカの会員数はあっという間に500万人を突破します。まさに「漁夫の利」を得るのが、JR東日本ということになります。
このように考えてくると、今回の出来事の勝利者は、FeliCaを使ったSuicaをiPhoneに載せることをアップルに認めさせたJR東日本ではないでしょうか。