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じぶん銀行の新サービス「スマホでATM」が始まった本当の理由

<スマホを使ってATMから現金を引き出す>

これまで考えられなかったような新しい金融サービスが続々と登場している。スマホを使ってATMから預金を引き出したり預けたりするサービスもその1つ。

じぶん銀行」が3月27日から同行に口座を持つ人向けのサービスとして始めた。スマホにインストールしたじぶん銀行アプリを操作して、全国に23,000台以上あるセブン銀行のATMから預金を引き出し預けることのできるサービスで、iPhone、アンドロイドどちらでも利用が可能だ。

「スマホでATM」の使い方は簡単だ。自分のスマホを持ってセブン銀行のATMの前に行き、スマホとATMを互いに情報を共有させながら預金を引き出せば良い。

なぜ、じぶん銀行がこんなことを始めたかと言うと、ネット銀行の場合、キャッシュカードを持ち歩かない人が多く、せっかく貯めた預金をそのままにしている事例が多いからだ。

たいていのネット銀行では、回数制限はあるものの、24時間365日ATM手数料無料という優遇サービスを行っている。しかし、キャッシュカードを持ち歩かないのでは、この絶好の機会を逃してしまう。そこでじぶん銀行では、スマホで引き出しできるようにして利用促進を図ろうとしているのだ。

<面倒な操作にはマイッタ>

しかし、これがなかなかに厄介なのだ。まず最初の初期設定では、ワンタイムパスワードで受け取らねばならず、受信状況の良い場所にいる必要がある。

次にスマホのアプリを立ち上げて、実際にセブン銀行のATMの前に立つのだが、ここではじぶん銀行のパスワードキャッシュカードの暗証番号、ATMロックを設定している場合は、インターネットバンキングのパスワードの異なる3つのパスワードを聞かれるので、事前にメモを取るか何かしなければ対応できない。

さらにQRコードを撮影しなければならないし、出金したい金額を入力したり企業情報の数字も出たりするので、てんてこまいである。

慣れてしまえばそこまで3分間で終わるというものの、スマホとATMの両方を素早く操作しなければならず、この間、後ろに並ぶ人の迷惑になっても困ると思うから余計に焦ってしまう。

リテラシーの高い若者はともかく、高齢者にはちょっと無理な作業だろう。

<来春のキャッシュアウトの解禁に備えたデモンストレーションか?>

このオペレーションの複雑さはどう考えてもまだ「生煮え」の段階と言うしかない。実際のところ、なぜこんな中途半端な段階で出てきたのか、これには事情があると私は見ている。

来年デビットカードでの「キャッシュアウト」が実質解禁になるので、それに対応する動きだと思うのだ。キャッシュアウトとは、デビットカードやキャッシュカードで買い物の時にレジから現金をそのまま引き出せるサービスのこと。ATMを利用する必要がないので庶民には便利で、欧米などでは盛んに利用されている。

来年に始まるキャッシュアウトは、Jデビットが中心になり、過疎地など地方の店舗で高齢者対象のサービスとなる可能性が高い。そのキャッシュアウトが本格的に始まる前に、とにかく早く類似したサービスを見せるために、じぶん銀行とセブン銀行は急いで作ったのであろう。

だからこんな中途半端なものになったのではないかと思っている。しかし「スマホでATM」はリテラシーが必要であるから、都市部の30代から40代向けが中心になりそうで、Jデビットと食い合うことはなさそうだ。そういう意味では、これからのリテール多様化時代のひとつのモデルにはなりうる。

Next: セブン銀行が「お店のレジで現金を下ろせる」新サービスを開始する意味

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