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「苦学生」ジョージ・ソロスは、いかにして投機の天才になったのか?=山田健彦

ソロスが認めた「間違い」

もっとも、ソロスでも間違いはあります。アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利した際は、日本円に換算して1,100億円を超える損失を出しました。

投資の神様とて間違うことはあるのです。ただ致命傷を被る前に方向転換できるかどうか、それが神様の神様たる所以でしょう。

ソロスも、他の投資の神様と同じく、味わい深い格言を残しています。

「市場は常に間違っている、と私は信じている」

「自分が他の人より優れているのは、自分は間違いを認めることができる点だと思う」

「マーケットは人間の心理によって動く。理論では動かない」

「まず生き残ること、儲けるのはその後だ」

グローバル・マクロ戦略

ソロスの投資手法は、系統だった理論というよりは、直感的、芸術的な領域に近いものですが、少し中を見ていきましょう。

ソロスの投資手法はグローバル・マクロと呼ばれます。イングランド銀行との戦いに象徴されますが、マクロ経済学的に考えて、いずれは今の状況が逆転すると思われる事象を見つけ出し、その逆転の兆候が現れた時に、一気に攻勢をかける、というものです。

その意味で、「最終的には企業価値が株価を決定する」といった他の投資の神様の考え方とは一線を画します。

「私はあるルールに基づいてトレードするのではない。ゲームのルールが変わる瞬間をめがけてトレードを仕掛けるのだ」。まさに、変化を収益に変える天才です。

潜在的トレンド

ソロスは、「マーケットには『目には見えない潜在的なトレンド』と『大多数の人々が追従する目に見えるトレンド』があり、その2つのトレンドの綱引きでマーケットは動いていく」と言っています。

まず、明確には意識されない「潜在的なトレンド」がマーケットに出現し、時間の経過とともに、そのトレンドが徐々に人々に認識され、その「潜在的トレンド」に追従する市場参加者が増えてきます。

さらに時間が経つと、そのトレンドに追従してくる市場参加者が加速度的に増え、「潜在的トレンド」は「目に見えるトレンド」に変わります。そうなると、トレンドは行き着くところまで行くことになります。

そして、さらにその行き着くところまで行き着いた現実と、新たな「潜在的トレンド」の綱引きが行われ、相場の転換点を迎えるということになります。

まさにこれは芸術的な投資手法であり、我々が真似できるような一般的な手法ではありません。おそらくは、ソロスの哲学者としての側面が強く出ている投資手法だと思います。

Next: 現在の市場を「ソロス的な視点」で考えると?

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