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現在の自民党では正しい財政政策によるデフレ脱却はできないのかもしれない

経済の仕組みをわかりやすく解説する経済評論家で作家の三橋貴明さん。今回は政治家すらわかっていないような、国の財政の基礎について話しています。

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015年4月6日号より
※本記事のタイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部によるものです

政府が何もしなくてもインフレ圧力が強まる可能性が

実は、国民経済とはそれほど難しいものではありません。

「生産者がモノやサービスという付加価値を【生産】し、誰かが消費・投資として【支出】し、【所得】が創出される」「生産面のGDP、支出面のGDP、(所得の)分配面のGDPの三つは必ず等しくなる(三面等価の原則)」「支出面のGDPは、【民間最終消費支出】【政府最終消費支出】【民間住宅】【民間企業設備】【公的固定資本形成】【在庫変動】【純輸出】の合計である」

上記の3つを完璧に理解するだけで(大して難しくないと思いますが)、国民経済のおカネの流れ、厳密には所得創出の流れが七割がたは理解できると思います。

逆に、上記が理解できていない人は、経営や家計簿はともかく、「経済」について語る資格はないと思うわけです。

かの菅直人は、官僚から政府が歳出削減をすると、GDPの政府支出が減り、マイナス成長になることを指摘され(当たり前ですが)、「え? ムダを削ってマイナス成長って、どういうこと?」と発言したと、報じられたことがありました。経済成長とはGDPが増えることであり、支出面のGDPには「政府最終消費支出」「公的固定資本形成」という2つの歳出が含まれている以上、「歳出削減をすると、GDPがマイナス成長になる」など、小学生でも理解できる基本でございます。

さて、甘利経済再生担当大臣は、先日、歳出カットは国内総生産(GDP)の下押し圧力となると、「事実」を指摘した上で、「歳出カットが成長に資するというようなウルトラCも含めて取り組んでいきたい」と、頭の中で体操選手が難易度Cに挑戦しているため、脳細胞の動きが混乱しているのではないか、と疑いたくなるような物凄い発言をしていました。

何と言いましょうか、不真面目です。

なぜ、普通に「GDPを成長させるために財政支出を拡大する」という発想にならないのか、不思議でなりません。

もっとも、自民党には河野太郎のように、とにかく成長をガン否定し、PB黒字化や歳出削減に持ち込もうとする緊縮財政派が少なくありません。結局、現在の自民党では、正しい財政政策によるデフレ脱却は果たすことができないのかも知れません。

とはいえ、世の中とは不思議なもので、「環境」が人間のちっぽけな思想や戦略を吹き飛ばしてしまうことが、ままあります。

日本の場合、何しろ生産年齢人口対総人口比率が低下していっているため、人手不足が深刻化し、政府が何もしなくても、あるいは「歳出削減」をしていてすら、インフレ圧力が強まって来る可能性があるわけです。

もちろん、政府が歳出削減をすると、デフレ脱却の時期が遠のくことになりますが、いずれにせよ人口構造上、我が国は将来的にはインフレギャップ化せざるを得ないのです。

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