日本はすでに格差社会
日本の現状も、バブル崩壊後は貧富の差が拡大しています。
この貧富の差の拡大は、成功者も出るだけに、国力の把握をわかりにくくさせるようです。つまり、氷山の上の部分はピカピカなのですが、水面下に多くが沈んでいる。こういう状態です。水面上の部分のピカピカが強いと、沈んでいる大部分が見えにくくなるのです。そして、歴史上の多くの経済国が、経済の衰退後に周辺国に軍事的に攻め込まれています。
こうした歴史を見ますと、日本も至急、雇用・所得ファーストの政策を行って消費を回復し、国力を回復しないと非常に危険なことがわかります。
GDPが上向くように中間層を増やし、雇用や所得を好転させることが第一であり、これに逆行する構造改革やリストラ(=貧富の差の拡大)は、景気が良くなってからで十分なのです。
欧米勢による「日本つぶし」
トランプ政権が誕生する以前の欧米勢が日本にしきりと構造改革とリストラを勧めていたのは、貧富の差の拡大による過去の経済国の転落の歴史を知っていたからなのかもしれません。バブル崩壊とその困っているところでの構造改革やリストラの提案が、「日本つぶし」のセットであった可能性も十分にあるのです。
日本が構造改革やリストラで国力を失うと、相対的に有利なのは中国や欧米諸国です。実際、構造改革やリストラを強力に進めた日本以外の先進国は、欧州でもそれなりのGDPの成長を続けていて、アメリカも順調に成長しています。また、中国はこの間に一気に日本を抜いて、いまでは簡単には追いつけないほどの大差をつけています。
経済の調子が悪い時にさらに構造改革とリストラを行い、消費の低迷から国力の低下へという逆方向の動きは、まさに貧富の差の拡大から衰退するという、過去の経済国のパターンと同じです。
その後の結末である軍事的な動きが起きる前に、大急ぎで日本の国力が充実する方向へと政策を転換する必要があります。
『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2017年7月18日, 19日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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