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海外カジノ業者と国内パチンコ大手のタッグに「毟りとられる」日本人=施光恒

なぜ日本だけがカジノへの自国民入場を禁止にできないのか?

カジノを認めている国の多くは、自国民をギャンブル依存症にしないように、カジノへの自国民の入場を禁止、もしくは制限しています。

例えば、韓国にもカジノは17か所ありますが、韓国人が入場できるのは一か所だけです。モナコはカジノで有名ですが、モナコ人はカジノには立ち入り禁止です。シンガポールのカジノは、外国人は無料ですが、自国民からは100ドル(シンガポールドル)(約8000円)の入場料をとっています。高めの入場料を設定し、自国民が入りにくくしているわけです。

在日米国商工会議所は日本人から稼ごうとしていますので、「入場料はなしにしろよ!」と強く訴えています。他にも、日本人がアクセスしやすいように田舎ではなく、「東京、横浜、大阪のような大都市に作れよ」、「公共交通機関がアクセスしやすいようにしろよ」といった提言が並びます。

加えて、「24時間年中無休にしろよ」、「カジノの総収入にかける税金は10%以下にしろよ」、「カジノでは金融サービスが受けられるようにしろよ」、「ギャンブル依存症対策などといって例えば一日にカジノで使える金額の上限を設けたりするなよ」などと要求しています。

こういう要求を掲げる際、在日米国商工会議所の意見書は、「パチンコや、競輪などの公営ギャンブルと競争条件を平等にしろ。そうじゃないと不公平だろ」としばしば指摘します。つまり、「パチンコなどが入場料をとらないのだから、カジノもそうしないとダメだぞ」などと言うのです。

もしTPPが発効したら、ギャンブル依存症対策の一環として政府がカジノに日本人対象の高めの入場料を設定するように求めた場合、外資系カジノ業者は「公平な競争条件が侵害され、期待される利益が不当に損なわれた」などとナンクセをつけ、ISD条項で日本政府に対し、訴訟を起こすのではないでしょうか。

また、当然ながら、在日米国商工会議所の意見書は、米系のカジノ業者が日本のカジノの運営権を獲得できるように戦略をよく練っています。例えば、カジノ業界の規制・監督にはカジノ管理委員会を創設し、それが当たるようにすべきだと求めています。そして、委員には、関連する専門的背景や経験を有する者を選任せよと提言します。

また、「落札した各共同事業体には、グローバル・ベストプラクティスに従って、カジノ運営を行う優れた実績を有する参加者や、大規模な複合利用IRを含む複数の施設の運営・統合を成功裏に行った経験を有する参加者を含めること」などとも記しています。

日本国内には、カジノを成功裏に運営した経験のある業者などあまりいないでしょうから、結局、この文言は、米系企業が恩恵にあずかれるようにせよということを意味していると受け取っていいでしょう。

Next: 「安倍政権のカジノ解禁でパチンコ消滅」という楽観的すぎるデマ

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