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海外カジノ業者と国内パチンコ大手のタッグに「毟りとられる」日本人=施光恒

海外カジノ業者と国内パチンコ業者が「悪魔のタッグ」を組む

ところで、ネット掲示板やいわゆる保守系ブログなどで次のような見解をときおり見かけます。「安倍政権は、今回のカジノ解禁によって相対的にパチンコ業界が不利になるようにしているのだ。実は深謀遠慮なのだ。だから安倍政権のカジノ解禁を支持すべきだ」。

残念ながら、こういう見解は、過度に楽観的で的外れでしょうね。解禁後のカジノの運営には、おそらく既存のパチンコ大手もかなり参画してくる米国系の業者と、国内のギャンブル事情に精通しているパチンコ大手がタッグを組んで、共同事業体を作り、カジノを運営するというのが、最もありそうなかたちだと思います。

海外のカジノ業者と国内のパチンコ業者が手を組んで、主に日本人客相手に商売をする――。そうなるんじゃないですかね…。やな構図ですな。(断っておきますが、私は、当然ながらパチンコにも反対です。)

そもそも政府とは、国民の生活基盤を守り、幸福に資するためにあるはずです。カジノ解禁が、それにつながるかどうかは甚だしく疑問です。

実際、刑法185条が賭博を禁じているのは、健全な経済活動及び勤労への悪影響や、副次的犯罪の発生を懸念してのことです。つまり国民の射幸心を煽り、勤労の美風を損い、治安を悪化させる恐れがあるから禁じているのです。

また、刑法186条には、「賭博場開張図利罪」に関する条文があります。「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する」。カジノ解禁に当たっては、競輪や競馬などと同様に特別に法律を作り、刑法のこれらの条文の適用外にするのでしょう。

しかし、政府が認可しさえすれば民間業者があからさまに博打の胴元となり、日本人を食い物にして稼げるようになるというのは、どう考えてもおかしくはないでしょうか。

パチンコなどの影響でただでさえ多い、日本のギャンブル依存症患者はいっそう増えるでしょう。ギャンブルが背景にある犯罪も増加するのではないでしょうか。

ほんと最近の「成長戦略」には碌なものがありませんね。いい加減に、「おバカな三代目」も目を覚まして、「家産を切り売りして凌げばいい」とか「賭場を開いて、大儲けしようぜ!」などと甘言を弄してくる新自由主義者とその取り巻きという下品な悪友とは縁を切り、真っ当になってもらいたいものです。

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三橋貴明の「新」経世済民新聞』(2016年12月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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