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「苦悩する巨人」米IBMの完全復活は近いのか?3つのシナリオ=東条雅彦

3つのケースで予想成長率を推定する

このように現在のIBMが置かれている状況は不確定要素が大きくなっているため、3つのケースにわけて予想成長率を設定することにします。

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<1. 悲観的なストーリー>

2017年2Qに、戦略的必須領域の年間成長率がプラス7%まで下落しました。戦略的必須領域の成長率はこのペースが続いて、レガシー領域の成長率はマイナス10%で推移すると仮定します。すると、シミュレーション結果は次のようになります。

<IBM 売上高の推移・悲観的なストーリー(単位:10億ドル)>
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この想定では、増収増益に転じるタイミングは2022年になります。「悲観的なストーリー」と表現していますが、直近の決算内容を確認する限り、十分にありえるストーリーです。

現在、多くの投資家は「IBMの減収減益はしばらく続き、増収増益に転じるタイミングはまだ先だ」と見なしています。そのため、株価が140ドル代の前半まで落ちて、配当利回りが4%になっています。誰もIBMには期待しておらず、転換点が先だと思われているため、株価が低迷しているのです。

<2. 中立的なストーリー>

戦略的必須領域とレガシー領域の成長率がそれぞれプラス11%、マイナス11%と仮定すると、次のように推移します。

<IBM 売上高の推移・中立的なストーリー(単位:10億ドル)>
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増収増益に転じるタイミングは2019年です。参考までにコンセンサスは次の値になっています。

<IBM コンセンサス・売上高予想(単位:10億ドル)>

79.9(2016年実績)→ 77.8(2017年予想)→ 77.7(2018年予想)

そして、上記の中立的なストーリーによる予想は次の通りです。

<IBM 中立的なストーリー・売上高予想(単位:10億ドル)>

79.9(2016年実績)→ 78.3(2017年予想)→ 77.7(2018年予想)

つまり、この中立的なストーリーはほぼアナリストの予想値と同じぐらいの推移になるという想定になっています。

<3.楽観的なストーリー>

戦略的必須領域とレガシー領域の成長率がそれぞれプラス15%、マイナス9%と
仮定
すると、次のように推移します。

<IBM 売上高の推移・楽観的なストーリー(単位:10億ドル)>
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増収増益に転じるタイミングはなんと2017年(今年中)となっており、現時点ではほぼあり得ない想定になります。IBMのことを積極的に評価しているアナリストでも、ここまで強気の人はいないでしょう。

2016年までの戦略的必須領域の成長率は15%前後で推移していました。この成長力を維持できれば、IBMは大化けする銘柄になっていたはずです。

しかしながら、2017年に入って、成長エンジンである戦略的必須領域の成長率に陰りが見え始めました。バフェットの3分の1売却という判断は、この楽観的なストーリーを破棄したとも受け取れます。

Next: 激しく落ち込んできたクラウド事業。それでもIBMは復活する!

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