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「苦悩する巨人」米IBMの完全復活は近いのか?3つのシナリオ=東条雅彦

戦略的事業はどのように貢献してきたのか?

IBMの売上高は毎年のように下落してきています。

<IBM 売上高の推移 2013年~2016年>
170912ibm_3

<売上高(単位:10億ドル)>

98.3(2013年)→ 92.7(2014年)→ 81.7(2015年)→ 79.9(2016年)

<売上高成長率>

-4%(2013年)→ -6%(2014年)→ -12%(2015年)→ -2%(2016年)

近年の成長率は-2%~-12%になっており、減収減益が止まっていません。戦略的必須領域とレガシー領域に分けて売上高の動向を確認すると、レガシー領域が落ちる一方で、着実に戦略的必須領域が伸びていることが確認できます。

<戦略的必須/レガシーの売上高(単位:10億ドル)>

21.6/76.7(2013年)→ 25.1/67.6(2014年)→ 28.6/53.1(2015年)→ 32.8/47.1(2016年)

戦略的必須領域の売上高割合は41%まで上昇してきました。

<戦略的必須/レガシーの売上高割合>

22%/78%(2013年)→ 27%/73%(2014年)→ 35%/65%(2015年)→ 41%/59%(2016年)

それでは、一体、IBMの売上高がいつ増収増益に転じるのか?

…この答えは「戦略的必須領域がレガシー領域を上回る時」となります。今、密かに良いところまで来ています。

戦略的必須領域とレガシー領域の成長率を推定する

IBMの売上高のコンセンサス(アナリスト達の予想中央値)は次のようになっています。

<IBM 売上高予想(単位:10億ドル)>

79.9(2016年実績)→ 77.8(2017年予想)→ 77.7(2018年予想)

<IBM 予想成長率>

2017年 -2.6%
2018年 -0.2%

2018年には成長率がほぼ0%までに回復するという予想になっています。

このことを踏まえて、戦略的必須領域レガシー領域それぞれの成長率を推定していきます。

それぞれ、直近3年間は次のように推移してきました。

<IBM 戦略的必須領域とレガシー領域の年間成長率>
170912ibm_t2

この値を元にして、戦略的必須領域の予想成長率を15%前後レガシー領域の成長率を-11%前後と見積もりたいところです。

しかしながら、最新の決算書を確認すると、戦略的必須領域の成長率は明らかに鈍化しています。特に直近の2017年2Qでは急ブレーキがかかって、過去1年間の成長率がプラス7%に急落しています。

<IBM 戦略的必須領域の年間成長率>
170912ibm_t3

レガシー領域の年間成長率は少なくともマイナス10%程度になっているため、戦略的必須領域の成長率がプラス10%よりも下回った状態だと、かなり厳しい未来が待っています。

Next: 悲観、中立、楽観…3つのケースで予想成長率を推定すると?

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