それでも今後30年間の主流はガソリン車
電気自動車について滔々(とうとう)と書きましたが、私は今後30年はガソリン車が主流である状況は大きく変わらないと考えています。
2016年の世界電気自動車販売台数は47万台で販売比率は0.5%です。2035年には13倍の630万台となる予想ですが、それでも販売比率は4.6%。先に販売されているものを含めると、走っている自動車全体では微々たる割合にすぎません。
車の寿命は携帯電話のように短くありません。新車で1度買ってしまえば10年乗ることは珍しくなく、その後も中古市場で活躍します。日本では廃車になるような中古車でも、アフリカなど新興国では「良車」として販売されて、まだまだ長く使用されます。
携帯電話は先進国のみならず、新興国でもあっという間にスマートフォンに置き換わりました。それを可能にしたのは、従来の携帯電話がスマートフォンになって「生活の形」が変わったことと、大量生産により価格が大幅に下がったことでしょう。
自動車に関しては、電気自動車や自動運転車がいくら発達したところで、「人や物を運ぶ」という基本的な機能が変わるわけではありません。これが空を飛ぶようなことがあれば大きく変わるでしょうが、今のところその可能性は低そうです。
したがって、価格が数万円のように大きく下がることがなければ、まだ30年はガソリン車の時代が続くと考えています。
世の中は新しいものに飛びつきたがりますが、古くても残るものには必ず意味があります。あくまで数字で冷静に判断しながら、企業の価値を見極めていきたいと思います。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2017年9月19日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。