fbpx

瀕死の東芝に投資チャンスはあるか? 上場廃止シナリオが再浮上=栫井駿介

明るい見通しの事業は少ない

立て続けの不祥事や突発事象に、東芝はかつてないほど苦しい状況に置かれています。昨年会計不正が発覚した際は、子会社の「東芝メディカル」や白物家電部門を売却することで場をしのぐことができました。しかし、すでに売却可能な優良資産はあまり残されていません。

東芝に残されているのは、原子力事業を含む「電力・社会システム」、フラッシュメモリなどの半導体を製造する「電子デバイス」、ビルやPOSシステムなどを担う「コミュニティ・ソリューション」の各部門です。

「電力・社会システム」部門は、以前から世界的な厳しい競争により利益が薄い上、各国の政治環境に左右されるリスクの高い事業でした。今回の減損損失はそれが具現化したものであり、今後ますます厳しい状況に置かれるでしょう。

「電子デバイス」部門は、直近はフラッシュメモリが好調で業績を下支えしていました。しかし、これは中国でのスマートフォン出荷増による一時的な需要である可能性が高く、長期的には価格競争に陥りやすい事業であるため見通しが立ちません。

唯一安定的な利益を生み出すのが「コミュニティ・ソリューション」部門です。一度受注すればその後のサービスなどで継続的な収入が期待できるストック型のビジネスであり、派手さはないものの経営を支えています。

事業の詳細は以下の記事(2016年3月15日付)をお読みください。

家電事業を売却する東芝は買い時か? – つばめ投資顧問

現段階では手を出さないのが賢明

ネガティブなニュースにより株価が大きく下がった時はバリュー株投資家にとって絶好のチャンスですが、企業の状況をよく見極める必要があります。過去記事にもある通り、私はこれまでも東芝の状況は厳しいと考えていました

株価が下落したとはいえ、時価総額はまだ1兆円を超えています。明かりの見えない事業環境や上場廃止リスクを踏まえると、まだ割高な水準にあると考えます。現段階では手を出さない方が賢明でしょう。

つばめ投資顧問は相場変動に左右されない「バリュー株投資」を提唱しています。バリュー株投資についてはこちらのページをご覧ください。記事に関する質問も受け付けています。

※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

【関連】バリュー投資の視点で選ぶ「2017年注目セクター」と厳選銘柄3つ=栫井駿介

【関連】さらば発泡酒! 酒税改正に揺れるビール業界、生き残りの条件とは=栫井駿介

【関連】公募割れ続く日本郵政とゆうちょ銀行 「騙された」株主のとるべき道は?=栫井駿介

1 2

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2016年12月29日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問

[無料 ほぼ 平日刊]
【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー