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積水ハウスとアパホテルを手玉に取った巨額土地詐欺、共通の黒幕とは?=阿部泰尚

「危険な調査になる」と確信

不動産に関する調査の基本は、不動産登記簿謄本を取り寄せることだ。T.I.U.総合探偵社は法務局のネットに登録しているので、インターネット経由で登記簿を取り寄せ(ダウンロード)することができるが、一般の方でもクレジットカードがあれば会社の登記簿や公図も含めて、登記簿は入手することができる。

まず、海喜館にあたる不動産登記簿を調べてみると、昭和50年の相続を原因として平成2年になりすましをされてしまった女性が土地の所有権を持っていたことがわかる。

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ここは東京都のホテル旅館の届け出もされていて、当然ここも旅館として登録されているので、その記録と照らし合わせても、この所有者と一致することから、当時は旅館営業もしていたことがわかる。

そして、登記簿では、平成29年4月24日に「IKUTA HOLDINGS株式会社」が所有権移転請求権の仮登記を行っている。その原因は、売買予約である。それと同時に、件の積水ハウスがこの売買予約によって仮登記をしている。

そして、積水ハウスは平成29年6月13日にこの仮登記を解除しており、平成29年6月24日に相続を原因として大田区に住む2人の親族が所有権移転をしたと記録されている。

これを解説すると、元々の当時の所有者はS子さんであり、「IKUTA HOLDINGS株式会社」を通じて、積水ハウスはこの土地の売買を行ったということになるのだが、この売買が法務局によって否定された。そして、所有者S子さんは死去しており親族が相続でこの土地の所有権を得たということになる。

「IKUTA HOLDINGS株式会社」(以下、I社)

不動産の登記によれば、I社は、永田町にある「十全ビル」に本店があるとなっているが、登録は「某議員」の事務所となっており、調査取材をしたが、登記上の住所を貸したのみで、この件に議員事務所が絡んでいるということは今回は確認できなかった。

ただ、そうなると、I社は実態のないペーパーカンパニーであるということになる。この点を掘り下げるには、会社の記録を登記簿ベースで追うことがまずは初歩の初歩となる。

この記録を追うと、I社は平成22年10月12日に設立されているのだが、初めは「エスラインJAPAN株式会社」という商号であった。主には、不動産の売買や仲介をその事業の目的としていたが、商号がI社に変わると、大気汚染などの研究やプラントの開発、都市開発や建設のコンサルタントなど事業の目的が増える。某議員事務所の十全ビルに本店を移転させたのが、平成27年12月1日。この時に社名をI社に変更させている。

そして、積水ハウス事件があり、なりすまし所有者であるとハッキリしただろう平成29年6月27日に、この十全ビルから恵比寿のマンションに本店を移転、さらに、同年8月14日には元赤坂ビル9Fに移転させている。ここはテレフォン秘書センターであり、いわゆるバーチャルオフィスである。当然にここには、I社に電話を取り次ぐだけの秘書しかいないのだ。

そもそも、積水ハウスほどの会社が、このような実態のない会社に取引の間をとり持たせるとか、売買金額70億円ともなるものにかかわらせるということ自体極めて不可思議である

特に十全ビルは普通では絶対に入居はできない。衆議院議員会館と参議院議員会館の真裏にあるビルで、入居しているのは有名政治家や有名企業オーナーなどが理事を務める団体ばかりであり、ビルオーナーは年季の入ったその世界では有名な人物なのだ。この時点でかなり危険な調査になるだろうと確信したのはいうまでもない。

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