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NHKニュースが報じない「2016年 実質賃金増加」のカラクリ=三橋貴明

2016年の実質賃金(速報値)が出ました。NHKが「物価の変動分を反映した実質賃金でも+0.7%と5年ぶりの増加」と報じていますが、これでは意味がないのですよ、意味が!(三橋貴明)

記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年2月8日号より
※本記事のタイトル・リード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

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5年ぶり「実質賃金増加」は、野田政権期の「停滞」と全く同じ構造だ

2016年の実質賃金(速報値)

2016年の実質賃金がようやく出ました(速報値ですが)。

働く人1人当たりの去年の給与総額は、月の平均で31万5000円余りとなり、物価の変動分を反映した実質賃金でも0.7%増え5年ぶりにプラスになりました。

厚生労働省が全国のおよそ3万3000の事業所を対象にした調査の速報値によりますと、基本給やボーナス、残業代などを合わせた去年の給与総額は、働く人1人当たりの月の平均で31万5372円でした。これは前の年を0.5%上回り、3年連続で増加しました。

また、物価が下落したため、物価の変動分を反映した実質賃金では0.7%の増加となりました。実質賃金がプラスになるのは5年ぶりです。(後略)

出典:去年の給与総額 実質賃金で5年ぶりプラスに – NHK NEWS

実質賃金とは、物価の影響を除いた賃金です。実質賃金が上昇するとは、稼ぐ給料でモノやサービスをたくさん買えるようになるという話なので、「豊かになる」と表現することができます。逆に、実質賃金の下落は「貧困化」です。何しろ、稼ぐ給料で買えるモノやサービスが減っていくのです。

通年ではプラスだが、16年10月以降は下落している

第二次安倍政権発足以降、日本の実質賃金は13年、14年、15年と連続で落ちました。ようやく、デフレから脱却し、みんなが豊かになる局面を取り戻し始めたのかと思えば、さにあらず。

まず、話を整理しますが、NHKの記事は現金給与総額で見ています。わたくしは、「デフレ脱却」のためには、それこそフリードマンがいう恒常所得が増えなければならないと考えているため、現金給与総額ではなく「きまって支給する給与」で見ます。

きまって支給する給与の2016年実質賃金(速報値)は、+0.3%でした。ただし…、

日本の実質賃金(きまって支給する給与)の推移 ※2016年12月は速報値 出典:厚生労働省

日本の実質賃金(きまって支給する給与)の推移 ※2016年12月は速報値
出典:厚生労働省

上図の通り、我が国の実質賃金(きまって支給する給与)は、16年10月以降「対前年比0%」が延々と続いています。それにも関わらず、なぜ2016年の実質賃金(きまって支給する給与)がプラス化したのかと言えば、16年9月まではプラス化していたためです。9月まででの「貯金分」で、16年通年でプラス化したわけです。

しかも、まずいことに16年12月の現金給与総額の実質値は、▲0.4%と落ち込んでいます。日本の実質賃金は16年10月以降、再び下落方向に圧力を受けているのです。

Next: まるで意味がない「物価の下落分を反映した」実質賃金増加のカラクリ

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