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トランプの日本叩きは続くのか?対日貿易赤字「7.7兆円」本当の意味=大前研一

米移民規制、合法滞在移民にも規制及ぶ可能性

日経新聞は8日、「移民規制でアメリカ経済が払う代償」と題する記事を掲載しました。トランプ大統領の移民規制が不法移民にとどまらず、就労ビザを持ち、合法的に滞在する移民にも及ぶ可能性があると指摘しています。海外からの優秀な人材に匹敵する能力は、アメリカ人を短期間研修しただけでは身につかないとする実業家の見方を紹介し、移民規制は国の税収減や経済的な損失に加え、企業のイノベーションにも打撃を与える可能性があるとしています。

トランプ大統領が7カ国を対象にした制限を課したところ、2つの地裁が違法として発効しなくなったわけですが、トランプ大統領はこれに代わるものを出すと言いながら、今日まで出せていないのです。考えれば考えるほど難しいということがわかってきたということでしょう。

アメリカを支えている新興企業、特にハイテク企業は、H1-Bビザというのを取得することで、頭の良い人たちの就労をアメリカで許してきています。これがなくなってしまうと、そういった会社が他国へ出なければならなくなります。また今回もそうですが、7カ国からの依存がとても高く、たまたま海外に行っていた人たちが自国であるアメリカに帰れなくなってしまったということで大混乱を起こしました。主としてこういう企業が多いのはカリフォルニア州で、もともとトランプ嫌いのカリフォルニアです。それゆえに色々と問題が起こっています。

アメリカの労働者数の推移を見ると、もともとの米国人が1億3000万人位いるとすると、一方で3千万人近い人が生まれは外国の人です。イーロン・マスクのように南アフリカで生まれた人などが入ってきているわけです。これはかなり大きな比率です。

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ビジネスウィーク誌の表紙では、何でもよいので上に書いたことを認めるという大統領令にサインして、そこに適切な言葉を入れよと見せているトランプ大統領の写真が載っています。そのくらい簡単に20ほどの大統領令を出してしまったということなのです。今自分でどんな大統領令を出したか覚えていないという状況になっているのです。

カリフォルニアは、半分をヒスパニックが占める州なのです。中西部のプアホワイトを中心に色々と展開してきましたが、カリフォルニアではもうやっていられないという状況にまで来ています。カリフォルニア州知事のジェリー・ブラウン氏は、もしメキシコとの間に壁を作るのであれば、俺はアメリカとの間にカリフォルニアの壁を作ると言っているほどです。ジェリー・ブラウン氏はアメリカで最も尊敬されている知事で、彼がこのようなことを言っているのです。

その壁の費用は俺が出すと言うシリコンバレーのベンチャーキャピタルも名乗りをあげています。また、ニューズウィークの表紙も、ステイトオブレジスタンスと題し、カリフォルニアの反発を取り上げています。トランプ的な発想は中西部では成り立つ部分も一部であるかもしれないものの、ぶっちぎりの大成功をしたカリフォルニアでは、人種差別、男女差別といったトランプ大統領の言っていることにはついていけないわけなのです。

私はトランプ政権は40日もたないと言いましたが、今ちょうど28日経ちました。トランプ大統領が辞める可能性もあり、今非常に窮地に追い込まれていることは、本人も自覚しています。しかしその後に、米移民規制、合法滞在移民にも規制及ぶ可能性があるので警戒が必要です。

ペンス氏はインディアナ州の知事をやっていたので、組織を動かしたことはありますが、コチコチの保守派なのです。妊娠中絶はだめだとか、宗教原理主義に非常に近いことを主張していて、彼が大統領になるのはある意味恐怖だと考えている人が非常に多くなっています。

いずれにしても、カリフォルニアのみでなく、シアトルのあるワシントン州もレジスタンスの州として誌面で取り上げられるなど、反発のムードがそこら中で出てきているのが現状です。

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グローバルマネー・ジャーナル』(2017年2月22日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

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