ECB当局者はユーロ高に懸念を表明
ただし、ECB当局者はユーロ高に懸念を表明し始めています。
ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は「最近のユーロドル相場の上昇は有益ではない」との認識を示し、ユーロ高をけん制しました。
ECBのコンスタンシオ副総裁も「非常に緩和的な金融政策が長期間続く可能性を排除しない」として、ユーロの上値を抑える発言をしています。
しかし、各国主要中銀が緩和策解除に向かっており、すでに利上げを行っている米国との政策退避では、ドルよりも他の主要通貨の方が上げやすい状況にあります。
輸出が牽引するユーロ圏経済にとって、ユーロ高は経済においてもECBにとっても懸念材料である。こうなると、ECBの政策決定は非常に複雑になってくるでしょう。
ポンドドル、一昨年「国民投票」後の高値を更新
ポンドドルについても、EU離脱が決まった一昨年6月の国民投票後の高値を更新しています。いわゆる「ソフト・ブレグジット(穏健な離脱)」の期待が高まっていることが、ポンド買いにつながっているようです。
さらに離脱派のジョンソン英外相が、「離脱後もEUに従属を強いられるなら残留の方がいい」と発言したとの報道もポンド買いを誘っています。
一方、EUのユンケル欧州委員長は「英国がEUを離脱しても再加盟を申請すれば歓迎する」としています。
英国のEU離脱問題では、トゥスクEU大統領も「われわれの心は開かれている」とし、残留に転換すれば応じる方針を示しています。
英国内では再度の国民投票を求める声が広がりつつあり、EU首脳の相次ぐ発言は英国民の反応を意識したものと言えます。
ユンケル氏は「英国のEU離脱に勝者はなく、英国とEU加盟国の双方が損失を被る。離脱したとしても再加盟申請は可能であり、私はそれを望む」としています。
もし英国が国民投票を実施し、離脱が覆れば、国民投票の意義を問われることになります。もっとも、その場合にはポンド買いが強烈に進む可能性が高いでしょう。
一方、米国が税制改革を実行することで財政赤字が拡大すれば、ドル安基調が強まることになります。