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また北朝鮮に騙されるのか? 米中露「外交ライアーゲーム」の被害者=矢口新

米中露の打算が作り上げる「北朝鮮」

私は以前から、北朝鮮の存在は米中露の打算の上に成り立っているのではないかと、述べてきた。

米国が西太平洋に強大な軍備を維持できているのは、北朝鮮がいるからだ。冷戦が終わった今も、日本に費用込みで基地を提供させ、自衛隊の装備に米国製の売り込みができているのは、端的に言えば、北朝鮮がいるからだ。そして、有事の際には、自衛隊も米軍の指揮下に置くことができる。

中国やロシアの最大の関心事は内政だ。大きな国でありながら、国を1つにするだけの理念の支えがない。

一方で、古今東西で行われてきた政治で、最も安直に愛国心を高められるのは、「仮想敵国」をつくることだ。

西太平洋における強大な米軍(と同盟軍)の存在は、中国やロシアの軍備拡大を正当化し、危機感は国を1つにする。その意味で、北朝鮮が時々暴れてくれるのは好都合だ。

少なくとも、現時点まではそうだった。

日本(日本国民)だけが蚊帳の外?

トランプ米大統領は16日、韓国の文在寅大統領と電話会談し、5月末までに北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談する意向を確認した。ホワイトハウスが明らかにした。

両首脳は、朝鮮半島の非核化実現に向け「具体的な行動」が重要になるとの認識で一致。最近の動向を慎重ながら楽観的に捉えていると表明した。

出典:トランプ氏、5月末までに米朝トップ会談に応じる意向確認 – Reuters(2018年3月17日配信)

韓国による北朝鮮との平和構築への取り組みについて、中国の習近平国家主席は支持と奨励を表明し、またロシアも支持する姿勢を示した。中ロを訪問した韓国の鄭義溶・大統領府国家安全保障室長が15日明らかにした。

出典:中ロ、朝鮮半島平和への取り組みを歓迎=韓国特使 – Reuters(2018年3月15日配信)

これで明らかなのは、日本だけが蚊帳の外だと言うことだ。とはいえ、諸外国がそこまで日本政府をないがしろにしているとは考えにくいので、日本国民だけが、あるいは当事国の国民たちだけが蚊帳の外なのだ。

とはいえ、これで東アジアに平和が来ると考えるのは、あまりに短絡的だろう。なぜなら、もともと対立関係にあるのは、米ソ、中ソ、現在は米中露で、北朝鮮は地域の「平和を脅かす存在」としては、あまりに弱小だからだ。

世界が本当に北朝鮮を脅威と思っているなら、50数カ国も経済制裁破りを行う国が出てくるのは不可思議としかいいようがない。

Next: ほぼ実現しない「朝鮮半島統一」。日本が取るべき大人の対応は?

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