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本当に佐川氏が悪いのか? 森友問題「4人の容疑者」を投資家が見抜く=東条雅彦

仮説2:佐川氏がすべて悪い説

佐川氏が暴走して森友学園に関係する決裁文書を改ざんするように指示した。森友学園との取引について、政治家は何も知らないし、何も関与していない。

この佐川氏がすべて悪い説は、現在、安倍政権が「これが真実です」と主張している説です。麻生財務相は2018年3月12日の記者会見で次のように述べています。

麻生氏「佐川の答弁に合わせて理財局の指示で書き換えた」「最終責任者は(当時の)理財局長である佐川」(2018年3月12日)

麻生氏のこの説明は論理的に破綻しています。まず財務省の発表によると、決裁文書を最初に改ざんしたのが2017年2月下旬(2月21~28日)だったとしています。

この改ざんに着手したタイミングというのはとても重要です。本来、やってはいけない行為に着手するのだから、強い動機や必要性があったはずだと推測します。

<財務省のHP>

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2月下旬から過去を振り返ると、佐川氏は国会で次のように答弁していました。

2017年2月17日
「国有地は時価で売るのが基本で、適正な価格で売っている」

この答弁1つで改ざんに着手する必要があったのでしょうか?「国有地は適正価格で売っている」という発言だけでは「あの決裁文書はまずいから書き換えよう」とはならないはずです。そもそも、この時点で佐川氏が「森友学園に売った国有地の価格は適正ではなかった」と発言するはずもなく、改ざんに着手する動機としてはあまりにも弱すぎます。

決裁文書の改ざんが必要になったであろう発言は2017年3月、4月に入ってからの話です。ここから佐川氏が暴走し始めました。以下、佐川氏の国会答弁を再掲します。

2017年3月19日
「売買契約締結をもって事案は終了しているので、記録が残っていない。速やかに事業終了で廃棄していると思う」

2017年4月10日
「(電子データは)短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている」

記録を破棄していると言いつつ、決裁文書に森友学園との取引経緯が書いていたら、整合性が取れなくなります。だから、整合性を理由に文章を改ざんするのなら、2017年3月下旬以降でなければ辻褄が合わないのです。

また、佐川氏を証人喚問にかけたわけでもなく、何も真実が明らかになっていない今の状況でイキナリ最終責任者が佐川氏だと断定できるのでしょうか?

佐川氏が財務省の理財局長だった期間は、2016年6月17日から2017年6月17日までの1年間です。森友学園へ国有地を払い下げた際の決裁文書は、2016年の3月から6月に作成されています。つまり、佐川氏は森友学園との契約にはノータッチでした。

国民が知りたいのは本来、森友学園とは無関係だった佐川氏が「森友学園関係の記録は残っていない」と虚偽の答弁をした動機です。

仮に「文章を改ざんした最終責任者が佐川氏だった」としても「森友学園問題の最終責任者が佐川氏だ」ということにはなりえません。…いずれにしても、麻生氏は苦しい言い逃れをしていると思います。

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