仮説3:財務省忖度説
主に野党が中心になって訴えている説です。国民の中にも「森友学園に忖度したんじゃないの?」と見ている人は多い。しかし、忖度があったことを客観的に証明するのはほとんど不可能な話に思えます。
まず、現時点では財務省の忖度を示す直接的な証拠が何も出てきていません。改ざん前の文章には多くの政治家が登場しており、森友学園との取引の経緯が書かれていますが、削除された文章をもって、「忖度があった」とは言えません。
それでは、決裁文書を書いた担当者や承認した責任者の口から「私が忖度しました」と発言するのでしょうか? いえ、絶対にそんなことは言わないでしょう。
財務省忖度説を客観的に立証するのは現時点では不可能。そもそも、与党が「この資料は出してよい」とか「この資料は出すな」とかコントロールしている状況ではなおさら立証はできません。
仮説4:昭恵夫人が関与していた説
今回、問題になった決裁文書の改ざん前には次のような文章が記されていました。
<削除された文章その1>
打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。
少し注意しなければいけないのが、「いい土地ですから、前に進めていください」という発言は籠池氏が「昭恵氏がそう言っていた」という話として掲載している点です。そして、安倍首相は昭恵氏はこんな発言はしないと否定しています。(3月19日の国会答弁)
おそらく籠池氏に確認したら、「いや、言っていましたよ」となるでしょう。水掛け論になる可能性が高いのです。
もう1つ削除された文章があります。下記の内容です。
<削除された文章その2>
産経新聞社のインターネット記事(産経WEST産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。記事の中で、安部首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。
「昭恵夫人も森友学園の小学校設立を望んでいます」ということを暗に示したかったのか? この文章を書いた担当者に直接、その真意を確認しなければよくわかりません。
いずれにしても、上記の削除された2つの文章をもって昭恵夫人が森友学園との土地取引に関与していたことにはならないはずです。
昭恵氏は開校予定だった小学校「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長に就任するぐらいなので、学園の教育方針には大いに賛同していたのでしょう。でも、そのことと国有地売却の件は直接、結びつきません。
問題は、なぜ近畿財務局の担当者がそもそも上記2つの文章を決裁文書に書き込んだのかです。まるで「この森友学園案件は昭恵夫人も関わっているので、特別な計らいが必要なんですよ」と、財務省内部の人間に訴えかけているようにも見えなくもない。謎めいた文章だと思います。