仮説1:籠池氏がすべて悪い説
籠池氏は2016年3月11日、小学校建設中に地中からゴミが出たと国に連絡しました。業者は深さ3.8メートルの地点にゴミがあったとする報告書を提出し、国交省大阪航空局がゴミ撤去費を約8億2,000万円と積算しました。国は2016年6月、土地評価額から撤去費を引いた1億3,400万円で学園に土地を売却しました。
そして、2年後の2018年3月16日、建設業者が「ゴミが実際より深くにあると見せかけた虚偽の報告書を作成した」と、大阪地検特捜部の調べに証言したと毎日新聞などが伝えました。
つまり、国交省大阪航空局はその嘘の報告書を鵜呑みにして確認を行わずに、ゴミ撤去費を約8億2,000万円としてしまった。
さらに、このゴミ問題についてはもう1つ特殊な背景があります。
森友学園は元々、この土地にごみがあることを承知していて、「深さ3mまでの浅い部分」の土壌を処理していました。
ところが、近畿財務局と森友学園側の建築業者は費用上の問題から有害汚染土と大きな障害物は除去したものの、それ以外のゴミは同じ用地内に「埋め戻し」をしていました。このことは籠池氏には伝えていませんでした。
そのため、2016年3月11日に、出るはずのない「新たなゴミ」(=これは新たなゴミではなく、埋め戻した既存のゴミ)が見つかって、籠池氏は怒り心頭になったのです。
そして、「国有地を安価に買い受けることで、(設立できるように)問題解決を図りたい」「無理であれば、事業を中止して、(ゴミと設立の遅れからの)損害賠償請求をせざるを得ない」と近畿財務局に迫りました。
今後、大阪地検特捜部の調査で籠池氏に新たな容疑がかけられる可能性はあるものの、籠池氏が全面的に悪いという説はかなり強引に思えます。
また、財務省を不当にゆすったとも思えません。なぜなら、建築業者、大阪航空局、近畿財務局の3者にもそれぞれに落ち度があったためです。