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トランプ劇場が招く米株安。米中貿易戦争の長期化でダウ平均2万ドルも=江守哲

この貿易戦争は長期化する

中国は過去の日本の失敗に関して、様々な側面から研究しています。したがって、90年代の日本が犯したような過ちを避ける対策を取ってくるでしょう。

そう考えると、今回の米中の貿易戦争といわれる事象が、意外に長引くかもしれません。

今回の米国の中国に対する怒りは、貿易だけにとどまりません。いわゆる「北朝鮮対応」として、中国が機能しなかったことも背景にあります。

経済面で苦しい状況にある米国は、外交面では中国を利用して北朝鮮政策を進めようとしました。しかし、これが上手くいかなくなると、一転して中国を攻撃し始めました。中国はアジアにおいてその勢力を拡大しつつあります。軍事費も拡大しており、太平洋の安全保障の面から、中国への対応を迫られていたわけです。

その中で、韓国が北朝鮮と会談したことは、米国にとってまさに渡りに船だったといえます。

今後、このアジア情勢がどうなるかを注視することが、経済面でも大きなポイントになってきます。

何もできない日本

しかし、残念ながら、この件について、日本は何もできていません。だから、相当焦っていると思われます。

米国にすり寄って、何とかして拉致問題を解決したいと考えているようですが、それは北朝鮮から見ればもう終わった話です。いまさらに再び問題視してほしくないというのが本音です。

一方、今回の鉄鋼・アルミの輸入制限については、日本は対象国に入ってしまいました。これは驚きましたが、結局のところ、この輸入制限の反対にあるのは、軍事産業です。つまり、日本が戦闘機を買ってくれるのであれば、今回の関税問題は片付きます。

とにかく、この背景には、日本の武器輸入に結び付けるという意図があります。それが一番おいしい。軍事産業は特に米ロの重要な資金源になっていますので。関税問題は、そのための撒き餌ですから。

この件の詳しいことは、私の新しいメルマガ『江守哲の「ニュースの哲人」~日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ(初月無料)」で解説することにします。

関税問題は米中だけの問題ではない

かなりスペースを使ってしまいましたが、今回の関税問題はあらゆることが結び付いています。

米国と北朝鮮が、韓国を介して接近する中、日本は弱体化する一方、中国との敵対関係はさらに強まります。一方で、経済が疲弊している韓国にとっても、この枠組みは美味しいものと思われます。

しかし、北朝鮮も苦しい。核開発やミサイル発射で国際社会を驚かせてきましたが、現在の膠着状態を打破するには、やはり会談をすることで、体制の維持を訴えたいところでしょう。

北朝鮮に接近しているのは米国だけではありません。ロシアも同じです。狙っているのは資源です。これから激しい争奪戦が繰り広げられることになりそうです。

関税問題は、ここまで広げてみていかなければならない案件です。この点は明確にしておきたいと思います。

さて、このような状況ですから、金融市場がすぐに安定するのは難しいかもしれません。しばらくは、市場参加者の懸念が株価を抑制することになるでしょう。

しかし、このようなときにいかに攻めることができるかが、ポイントであると考えます。

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