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トランプ劇場が招く米株安。米中貿易戦争の長期化でダウ平均2万ドルも=江守哲

今後の利上げペースは

関税問題があまりに大きな材料になってしまい、それ以外の要因がかすんでしまいましたね。簡単に触れておきましょう。

20・21日開催のFOMCでは、政策金利を0.25%引き上げ、年1.5~1.75%にすることを決定しました。今年の利上げ回数については、3回とした昨年12月時点の想定を据え置きました。ただし、前会合時に比べて年4回とする参加者の数が3名から6名に増えています。これは、早く利上げをしたいと考えているFRB関係者が少なくないことを示しています。経済見通しも若干上方修正されました。

また、FF金利の中央値も19年は前回の2.6875%から2.875%に引き上げられ、20年も3.0625%から3.375%に引き上げられました。さらに、PCE中央値は18年が1.9%、19年は2.0%に据え置かれましたが、20年は2.0%から2.1%に引き上げられました。ただし、GDPについては、18年は2.5%から2.7%に、19年は2.1%から2.4%に引き上げられました。また、20年は2.0%で据え置かれました。FRB関係者はかなりポジティブに考えているようです。

声明では「景気は緩やかに拡大している」と評価。インフレ率は「今後数カ月で上昇する見込み」と指摘し、大型減税や歳出拡大に伴う財政刺激効果をにらみ、「さらなる緩やかな利上げ」が適切との見解を示しました。

一方、パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見で、複数の参加者がトランプ政権による保護主義的な通商政策に対する懸念を示したと説明しています。前回は減税政策をポジティブに捉えていましたが、今回は関税問題をかなりネガティブに捉えている可能性があります。

結局のところ、利上げはインフレ率が上昇しない限り、難しいと思います。

その意味では、CPIが上昇するのか、さらに言えば、CPIの上昇の背景となる原油高が見られるかを確認していくことになるでしょう。ただし、私は減税や財政悪化、原油高とドル安政策で、米国はインフレになっていくのではないかと考えています。

米国経済を牽引するIT企業に課税か

一方、フェイスブック問題も米国株に大きな影を落としています。16年の米大統領選で利用者の個人情報が不正利用された疑惑で、フェイスブック株は大きく下落しました。マーク・ザッカーバーグCEOは声明で「誤りを犯した」としています。

一方、欧州委員会は、グーグルやフェイスブックなどIT大手の売上高に課税する「デジタル税」の導入をEU加盟国に提案しています。IT大手への課税見直しに関して国際的な議論が難航しており、欧州委は「暫定措置」として独自の取り組みを先行させたいもようです。

対象は世界の売上高が年7億5000万ユーロ以上で、EU内で5000万ユーロ以上のIT企業。最終的にどの国の利用者にサービスを提供しているかを申告させ、その国へ売上高の3%を納税させるもようです。加盟国全体で年間50億ユーロ規模の税収増を見込んでいるといいます。

デジタル税導入には全加盟国の賛成が必要であり、IT企業を誘致してきたアイルランドやルクセンブルクなどは慎重姿勢を崩していないようですが、IT企業の業績への影響もあり、この材料には要注意です。

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