政府に資産を取り上げられる王族たち
リッツカールトンホテルからの釈放条件は、拘束者たちの保有する資産、現金、所有不動産、保有する会社群の株式などを政府に渡すことだった。
しかし、サウジアラビア政府は今のところは資産押収を完了しておらず、中途半端な状態のままである。
ある釈放された人物の一人は、足首に追跡装置を装着され、所有企業は破産となり、本人は鬱状態に落ち込んでいるとのことである。
親戚の一人は「何でもかんでも署名をさせられたそうだ。自宅にいても、これが本当に自分の家なのかどうか判らないと言っている」と語っている。
私腹を肥やしてきた王族がターゲットとされているが…
多くの役人、王家の人々、親戚、顧問、友人にインタビューしたことで、拷問等の暗黒の弾圧によって「10億ドル単位の資産」が皇太子の管理下に移管されたことがわかってきた。
確かにサウジアラビアでは長い間「政治腐敗」が蔓延しており、今回拘束された経済界の大物は、以前より彼らの資産は国庫から盗んだものだと言われて来た人物たちばかりだった。
しかし、サウジアラビア政府は個人情報を盾に、個々人の罪状、また有罪だったのか無罪だったのかも明らかにしておらず、どのような判断基準で決めたのかもわからない状態である。
「腐敗を完全撲滅させる」と息巻く現国王と皇太子
2015年に死去したAbudullah前国王の3人の友人によれば、現Mohammed bin Salman皇太子とAbdullah前国王の王子たちとの間で摩擦が生じた結果、この権力闘争が起きたとのことである。
政府側は、この腐敗撲滅キャンペーンは透明性があると言っているが、実際には秘密裏に行われ、身柄解放の取引内容は公開されておらず、現在も禁足措置が続き、開放された拘束者は今なお報復を恐れ、自由に会話ができるような状態ではない。
サウジアラビア政府は「この腐敗の犯罪捜査はサウジアラビアの司法長官の指揮によってサウジアラビア法により行われ、調査対象となった被告は、法律顧問や弁護士と接見ができ、さらに治療も受けられた」と言明し、さらに司法長官の傘下に反腐敗検察局が創設され、Salman国王とMohammed皇太子は腐敗を完全撲滅させるために全力を投入すると語っている。