サウジ政府「拷問報道は真っ赤は嘘」
しかしワシントンのサウジアラビア大使館の館員は、この件に関して電子メールで「腐敗撲滅キャンペーンで拷問があったとの報道はぜんぶ真っ赤な嘘だ」と反論している。
拷問によって死亡した人物はサウジアラビア国家護衛隊の隊長であり、本人は金持ちではないので、本来は腐敗撲滅キャンペーンのターゲットにはならないはずだ。
彼は前国王の息子で、首都リヤドの都知事であるTurki bin Abdullah王子の側近中の側近であったので、尋問者がTurki王子の情報を得るために拷問を加えたと考えられる。
Al-Qahtani隊長は11月に病院に搬送されて治療を受けたのだが、担当の医者は「殴られた形跡がある」と語っていた。
その後、少将は尋問のためにホテルに戻され、不思議なことに後日、陸軍病院で死亡したと報道された。
この少将の死亡に関して、サウジアラビア政府は一切発表をしていない。
進まない資産押収。現金化には時間がかかる
ホテル拘束の目的は、資産没収に合意させることであったのは間違いない。
サウジアラビアの検察庁長官は、1月時点で資産総額106B$で合意に至ったと発表し、他の複数の高官は2018年末までにさらに13B$の現金を得るだろうと語っていた。
ところが、前述の2人以外の拘束者たちの資産押収は、どうもあまり上手く運んでいないようだ。
ほとんどの拘束者は、サウジアラビアの銀行に預けている現金が少なく、海外の金融機関に預けているからである。海外の資産の没収には、法的手続きに時間がかかるからである。
これまでのところ、多くの拘束者たちのサウジ国内の国際金融機関に預けている投資や、海外に置いている投資を没収した形跡は見られない。
拘束者の金融アドバイザーや知人の話では、政府が没収した資産は、サウジ国内の不動産や、国内企業の株式等だけに限られ、これを現金化するには何年もの長い時間が必要になるだろうとのことである。
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