いまだ混乱状態が続く中国市場ですが、現地時間7月8日にはニューヨーク市場でも取引停止におちいる事態がありました。しかし、こちらはシステム障害が原因だと報じられています。これについて、「兜町カタリスト」編集長の櫻井英明さんは、同じ“取引停止”でも意味合いが大きく違うと語ります。
中国市場は、子供の頭脳をもった大人の体みたいな市場
自ら取引を停止した銘柄が全体の半分に及んだ中国市場。
システム障害で一時取引停止になったNY市場。
同じ取引停止でも意味合いは相当違う。
株式市場と言うのは、何があっても開いていなけらばならない存在。それは株式の優位性がいつでもどこでも換金できるという理由による。NYのシステム障害は良くはないが不慮の事故。
しかし上場企業自らが取引停止を申し出る市場は未成熟そのもの。
海外投資家比率が低いから許されるという問題でもない。
起こったことは、確かに株価への警戒感もあろうが、この未成熟な市場への恐怖感。
いつでも換金できない事態が発行体によってもたらされるなど椿事以外の何物でもない。
子供の頭脳をもった大人の体みたいな市場は危険過ぎる。
加えれば、国家が市場をコントロールできるという奢りも否定はできない。
多くの株価対策を打っても全く効かないのは市場が無理を訴えているのかも知れない。
結局ギリシャ問題は知らず知らずのうちに玉虫色の終焉をしそうな気配。EU側がギリシャを地政学的に捨てられないのなら何があっても助けざるを得ないのが宿命。ハナからそう決め打ちすれば右往左往する必要はなかった。やはり喜劇の好きな国柄に悲劇は似合わない。というか、多くの人が論じてきたことの時間の無駄が気にかかる。
中国市場への不安感もとどのつまり中国の国内市場の問題。経済的な衰退の影響はあろうが、所詮ギャンブル好きな国民が一斉に飛びついたことの反動。陽監視する必要もあまりなさげな気配。
ギリシャや中国の影にかくれたネタのご本尊はやはりアメリカなのだろう。利上げの問題以前に景気の問題があろうか。
いつの時も市場は多くの鎧をまとうが、結局主役はアメリカの金融の問題。この仕組みに気がつけばリーマンショックだってもっと早く見えたのだろう。皮相的に相場を見るのではなく「誰が儲かるのか、誰が損するのか」。あるいは「誰が本当の悪材料なのか」を類推することは必要になる。
ギリシャや中国などのマリオネットに見とれていると糸と意図が見えなくなろうか。「めぐるめぐる材料の中で市場は何を見つけるだろう♪」だろうか。
『「兜町カタリスト」』(2015年7月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による