満40歳に達した時から徴収される介護保険料。これはご自身が住む市区町村によって払う額が異なるというのはご存じでしょうか。ならば徴収額の安い地域に住む方がお得と考えてしまいがちですよね。しかし、ファイナンシャル・プランナーの新美昌也さんによると一概にそうも言えなさそうです。
介護保険の保険料の安い地域に住むのは得か?
公的介護保険の保険料の決まり方をご存じでしょうか。
保険料の財源は50%が税金、残りの50%が40歳以上の方が支払う介護保険料で賄われています。介護保険料の内訳は、第2号被保険者が28%、第1号被保険者が22%です。
さて、介護サービスの主な利用者である第1号被保険者(65歳以上)の保険料の算出方法について確認しておきましょう。
まず、各市区町村で必要となる介護保険サービスの見込み額を算出します。
この金額に、第1号被保険者の負担割合の22%を掛けます。
そして、この金額を市区町村の65歳以上の人口で割り「基準保険料」を求めます。そして、「基準保険料」をベースに所得に応じた保険料を決めます。
したがって、地区町村によって第1号被保険者の介護保険料は大きく異なります。
全国平均では月5,514円(平成27年4月)ですが、最も高い奈良県天川村の8,686円と最も低い鹿児島県三島村の2,800円では3倍もの開きがあります。
では、保険料の安い地域に老後は移り住んだほうが得でしょうか。
保険料が安い理由が、元気な高齢者が多く介護給付費が少ない場合はいいのですが、サービス提供事業者が少なく、介護サービスを受けられない場合は問題です。
鹿児島県三島村の場合は、サービス提供事業者が少なく、介護サービスを受けられないケースです。
逆に、介護保険料が高い地域は介護保険サービスが充実していて、介護環境が整っている地域かも知れません。
つまり、保険料だけで、老後に住みやすい地域かどうかは一概に言えません。
『民間介護保険120%活用法』(2015年7月21日号)より一部抜粋
※太字はマネーボイス編集部による
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民間介護保険に詳しいファイナンシャル・プランナーとして、日本経済新聞、読売新聞、産経新聞、高齢者住宅新聞や週刊朝日など、多数、取材協力してしているCFP新美昌也が民間介護保険を中心に、公的介護保険や自治体のサービス、民間の介護サービス、高齢者向け住宅のこと、利用者への支援制度、法律の動向、介護と仕事の両立などの周辺知識も情報発信していきます。