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米経済は今がピーク。トランプの本音「ドル安が好き」に見る長期停滞論の現実味=藤井まり子

人工知能ブームも、生産性はまるで上がっていない

アメリカ経済の異変とは、生産性(潜在成長率)がまるっきり上昇していないことです。ローレンスサマーズの唱える「長期停滞論」は本当の話だったのです。

世はこぞって「第三次人工知能ブーム」など、人工知能を持てはやしています。人工知能・ロボット・自動運転システム・ナノテクノロジー・ブームが始まって、世はこぞってこれらのブームをもてはやしています。

しかしながら、これら「ハイテク分野での革命」はまだ始まったばかりで、その実用化は「はるかかたなの水平線」にぼんやりと見えるだけ、そのほとんどは実用化されているわけではありません。

(金融の世界では、すでに「PCに毛の生えたような自動売買システム」を「人間のファンドマネージャーにとって代わる人工知能」と名付けていますが、これは「ただのはったり」です。その実態は、まだまだ「ただの従来通りの自動売買システム」に「ちょっとだけ毛が生えたもの」に留まっています。)

これらのハイテク分野は、アップルのiPhoneなどが象徴的ですが、人々が「(オンラインゲームなどで)より楽しい余暇の時間を過ごすのには大変優れモノ」です。しかし、アップルのiPhoneは、実際に労働の現場で「生産性を上げている」わけではないです。

電気自動車はガソリン車よりも「都市部の大気を汚染しませ」んが、電気自動車は労働の現場で生産性を上げているわけではありません。

かくして、今現在の産業分野では、どんなにハイテクブームがもてはやされているとしても、肝心の農業や製造業の現場では、「飛躍的な生産性の上昇」はほとんど起きていないのです。

生産性の伸びが低ければ、賃金上昇率の伸びもサブプライム危機「前」よりも低くなってしまうのは、致し方ないことです。インフレ上昇率が危機「前」よりも低くなってしまうのも、致し方ないのです。

米経済の延命に「舞台裏で」心血を注ぐパウエルFRB議長

だからこそ、パウエルFRB議長は、中期的に

・「近いうちに利上げを打ち止めて『インフレ放置政策』へと切り替えてゆく」方針で行くのか?

・「長期金利の上昇を抑えるために、『バランスシート縮小計画』をも放棄する」方針で行くのか?

について、議会とすり合わせているところでした。

すなわち、「どうやって長期金利の上昇を抑えて、ドル安を巻き起こして、アメリカ株式ブームをより息の長い、より大型なものにしてゆくのか?」について、パウエルFRBと共和党議会は、多くのすり合わせをしながら、こそこそと「秘密袖」で話し合っていたわけです。

繰り返しますが、要するに「ヘリコプターマネー」について、パウエルFRBと議会は、「秘密袖」に話し合っていたわけです。

言ってしまえば、「物価水準目標」という新手の金融政策だって、その神髄は「ヘリコプターマネー政策」なのです。「物価目標水準」だって、聞こえはなんか「正しいこと」をしているみたいなんですが、一皮むけば「ただのドル安低金利」政策です。

パウエルFRBもアメリカ議会も、「アメリカの、いや世界の超富裕層の方々の命令」の元で、いま現在の株式ブームを少しでも「息の長い大型のもの」に変えてゆく「密命」を帯びているわけです。それが資本主義というものです。

そのためには、「ヘリマネ出動もやむなし」と考えているわけです。「格差」なんてものは「拡大したって平気」なんです。

Next: 「国民のため」を標榜しながら密命を遂行する役人。それをトランプは…

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