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「値上げは敵」に騙されるな。日銀が自らデフレを誘発する愚かさ=児島康孝

日銀はむしろ「金融引き締め」を行っている

日本は物価上昇率が低いので、金融緩和を行うには、短期金利をマイナス1%ぐらいにしなければ効果がありません

昔の生活実感で言うと、「インフレ率よりも、普通預金の金利が低い」というのが普通でした。以前の日本では、普通預金をしているとインフレ率に「負け」て、資産が目減りするのが普通だったのです。物価が徐々に上がり、物の値段が高くなっていくため、時間の経過とともに実質的に買える分が減ってしまうということです。いまなら100円で買えるが、普通預金にして来年に買おうとすると、その時には103円になっているという話ですね。

これは、現在のデフレの異常さに慣れれば「103円がおかしい」と思えてしまいます。しかし、通常の経済状態でインフレ率が3%であれば、これが普通であり、以前の好調な日本でもそうだったのです。

しかし今は、普通預金でも資産が目減りしないという、相対的には金利が高い状態です。これは、インフレ率と普通預金の金利がともにゼロ近辺であるための「トリック」のようなもので、普通預金の金利水準は高くなっているのです。

つまり、いまの日本は金融緩和ではなく、金融引き締め状態ということです。

ですから、「日銀が金融緩和をしても効果がなく、デフレが続いている」というわけではありません。「日銀が(相対的に金利を高めにして)金融引き締めを行っているので、デフレが続いている」という、逆説的に言えばあたりまえの話なのです。

金融緩和か引き締めか、日銀の動きを見抜くポイント

日銀の金融政策は、金融緩和なのか、金融引き締めなのか。実は、それがすぐにわかる方法があります。

それは、企業の内部留保と、日銀の当座預金残高を見ることです。

企業の内部留保は、様々な形で存在するとは言うものの、実際には普通預金でそのまま積み上げている場合も結構あります。100億円ぐらい普通預金にしてあるということも、ままあるのです。

この内部留保の増減は、普通預金の実質的な金利水準を反映します。つまり、いまは普通預金が有利な金融商品なので、企業は内部留保にしているのです。

経済的には、目先、合理的な行動です。たとえ儲かっても普通預金が目減りする状況であれば、企業はお金を設備投資にまわしたり、雇用にまわします。はやく使わないと、そのままでは実質的に減ってしまうからです。

大企業の内部留保拡大が批判されるが…

大企業の内部留保が批判されていますが、根本的な原因は日銀の金融政策というわけです。

ですから、日銀が真の意味で金融緩和を行えば、内部留保は溶け出します。一方、金融引き締めを行えば、高金利によって内部留保が「氷河」のようにどんどん増えるということです。

つまり、内部留保が増えているということは、普通預金の金利が高い=短期金利が高いということ。もし内部留保が減るのなら、普通預金の金利が低い(金融緩和が行われている)ということです。

Next: 日銀がわざわざデフレが続くような政策を取っている

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