最終的には大暴落が起きる
こうした最悪な状況を回避するため、政府と中央銀行は過剰な国債を発行して通貨の流通量を増やすとともに、極端な低金利政策で景気の刺激を試みた。これで経済の低迷は回避されたものの、不動産や金融商品を中心とした巨大なバブルを発生させた。
さらに、市場で行き先を失った過剰な資金は、あらゆる方面に貸し出され、企業も家計も借金づけの状態になった。
加えて、国債の乱発は政府の金利負担の増大となって跳ね返ってくる。国債の利払い費だけでも、年間予算の10%にも上る国が増えている。こうした状況で、もしFRBが政策金利を引き上げると、企業や家計はローンの支払いができなくなって破綻が相次ぐことになる。バブルの破綻である。
さらに、政府は利払い費の増大に耐え切れなくなり、これまでの低金利政策と景気刺激策を止め、緊縮財政を実行するほかなくなる。これは社会保障費や公共事業の大幅な削減を伴うので、経済はとことん低迷する。
こうした破綻は、金利の上昇によるバブルの破綻から始まることは確実である。今回のダウの大幅な下げは、このような状況が近づいたと市場が判断し、経済が破綻する前に株を売るという警戒的な活動の結果である可能性が高い。この予測が正しい場合、ダウはこれから神経質な乱高下を繰り返し、最終的には大暴落するだろう。
構造的クラッシュは2020年代初頭にやってくる
今回の暴落ではこのような異なった2つの見方があるが、構造的なクラッシュは将来確実に起きるものの、それはしばらく先ではないかという意見が多い。2020年代の初頭にやってくるのではないかというのだ。
したがって今回の大幅な下げは、前者の短期的な現象であるとする見方のほうが一般的だ。
中間選挙でトランプを潰すための操作
しかし、このような状況で、著名な地政学者のF・ウィリアム・エングドールが実に示唆に富む記事を書いた。これは、ダウが大幅に下落する前の9月25日に出た「FRBはトランプ政権を転覆するために、次のクラッシュを演出するか?(Will Fed Engineer Next Crash to Topple Trump?)」という記事だ。