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脱・現金化は進むか? 雨宮日銀副総裁の懸念と、電子マネーにある致命的欠陥=久保田博幸

今後もキャッシュレス化の勢いは増していく

技術革新や、eコマースなどデジタル・ベースで行われる経済取引の発達などに伴い、キャッシュレス化が人々の生活の利便性向上に結び付く局面も増えています。

例えば、電子マネーやETC(ノンストップ料金収受システム)の普及により、駅の改札や券売機、料金所などの混雑は、かなり緩和されたように思えます。現金からキャッシュレス手段への移行局面ではさまざまなハードルもあるわけですが、例えば人々が、支払いのために列を作って待たなくてもよいといった利便性を実感するにつれ、キャッシュレス化の勢いは増していくでしょう。

出典:【講演】雨宮副総裁「マネーの将来」(日本金融学会) – 日本銀(2018年10月20日配信)

それだけではなく、キャッシュレス化によって蓄積されるデータが「21世紀の石油」として、付加価値を生み出すアセットとしての性格を強める点も雨宮副総裁は指摘している。

ただし、災害時における停電などによってキャッシュレス決済ができなくなる恐れもあるなど、特に自然災害の多い日本では、ある程度の現金決済は残っていくことも予想される。

災害時に弱いキャッシュレス決済

キャッシュレス決済の普及に向け、企業や学識者、自治体などが設立した「キャッシュレス推進協議会」は、10月15日に初めて開いた総会で停電対策に協力して取り組むことになったとNHKが伝えている。

北海道では、9月6日の地震に伴う大規模停電で、電子マネーを使った決済が長いところでは数日間できなくなった。電子マネーはコンピューター上で管理されているものであり、停電によりホストコンピューターとの接続が切れることで利用できなくなる。

現在では、クレジットカードも専用端末を通すことでリアルタイムにチェックできるため、「インプリンター」と呼ばれる紙の伝票に印字する機器を使っているところは少なくなっている。レジについても、ホストコンピューターとつながっているレジが、スーパーやコンビニエンスストアなどで多く使われているかと思われる。

そのため、停電となれば利用できなくなってしまう。もちろん、単独のレジで使用可能のものもあるとは思うが、自家用発電で賄える時間だけとなっていたようである。

Next: 停電にすこぶる弱いキャッシュレス、対策はあるか?

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