今後、米市場を主導する指数はナスダックからダウ平均へ
これからは収益を上げるのは、どんどん難しくなっていくでしょう。しかし、チャンスがないわけではありません。リスク管理さえしっかりとすれば、まだまだ収益機会はあります。ただし、相当難しい相場展開にあることだけは確かです。
世界景気は拡大期の終盤にあります。その際には、株価のボラティリティが大きく変動することになります。
そうなると、結果として見方が正しくても、上下に振らされます。その結果、損切りなどが頻発しやすくなります。また、ポジションが大きいと耐えられなくなります。そうならないためにも、ポジション量を小さめにすべきでしょう。
2020年まではこのような高ボラティリティの乱高下の状態が続きやすい期間になります。脅かすつもりは全くありませんが、ぜひ注意深く対処するようにしてください。
VIXは「危険ゾーン」の20から「警戒ゾーン」の15から20の水準です。この水準でも、本来はまだ警戒すべきです。20を超えてくれば、再び下落リスクが高まります。ここはきわめて重要なポイントですので、繰り返し申し上げておきましょう。
もっとも、大統領3年目は株価が高いのが通例です。本当に今回もそうなるのかどうか。疑心暗鬼ではあります。
しかし、このアノマリーは無視しづらい面もあります。一方で、株価が乱高下する中、投資家が積極的に買うことができるのかどうかいついては疑問が残ります。戻り売りも出てくるでしょう。
ハイテク株がかなり厳しくなっていくとみていますので、これからナスダック指数主導ではなく、ダウ平均主導に移行していく可能性が高いと考えています。
また、今後は金利上昇が株価抑制に効いてくるでしょう。米10年債利回りが3%を超えていますが、これも7年ぶりの高水準です。今後金利が上昇すると、これまで米国債を購入してきた投資家の債券ポートフォリオが傷んできます。
最終的に持ち切ればよいのですが、評価損が拡大し、切らざるを得なくなれば、売りが売りを呼び、結果的に債券価格が下落し、金利はさらに上昇します。これが非常に懸念されます。
こうなると、金利上昇は株価にも大きな影響を与えることになるでしょう。このような「負の連鎖」がもっとも怖いといえます。
現在の値動きはまだ不安定ですが、ひとまず月末までは上げていくのではないかと考えてます。その背景には、米中貿易戦争の解消への期待の高まりがあります。
中国の王岐山国家副主席がシンガポールで開催された経済フォーラムで講演し、米国との貿易摩擦について「相互に受け入れ可能な解決を図る用意がある」と表明しました。徐々に期待感が高まっています。
今回の株安の背景には、金利上昇に加え、米中貿易戦争の企業業績への影響があります。したがって、米中貿易戦争への懸念が払しょくされることが、株価回復には不可欠といえます。市場では、その期待がかなり高まっているように感じます。そのため、トランプ大統領から問題解決に向けた発言が出ると、株価は大きく戻す可能性があります。
しかし、逆に問題解決に積極的ではない姿勢が示されるようだと、これはかなり大変な事態になりそうです。それほど、これから1カ月間の政治の動きは重要といえます。
このまま高値を更新できないようだと、株価急落が待っているでしょう。それも、かなり厳しい下げになるでしょう。2番底を探る動きになるはずです。いまは何が飛び出すか、わからない状況です。
大きな期待を持たずに、あくまで株価優先で対処するのが賢明でしょう。
ちなみに、米国は中国に対してかなり厳しく対処していくようです。また詳しく解説しますが、特にハイテク分野での警戒を相当強めています。米中の対立はいま以上に強まる可能性が高いでしょう。この点は、メルマガ「ニュースの哲人」で解説できればと思います。かなり深刻な事態のようです。