逆イールドをどう捉えるべきか
さて、市場では米国債は長短金利差に注目が集まっています。この動きに対して、市場ではそれぞれの立場で理解に差があるようです。
しかし、結論は出ています。
10年債と2年債の利回り差(イールドスプレッド)は、7日の引け時点でマイナス0.1390%にまで縮小してきています。また、2年債と5年債の利回りスプレッドは0.0150%と短期債利回りがすでに上回っており、逆イールド化が完成しています。
CMEグループのフェドウォッチによると、短期金利先物が織り込むFRBが18・19日のFOMCでフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を2.25-2.50%に引き上げる確率は75%と、前日の71%から上昇しました。
短期金利先物が織り込む来年の利上げ回数は1回となっており、FRBは9月に予想した来年3回の利上げの実施が修正される可能性が指摘されています。
いまのイールドスプレッドの動きをどのように解釈するかによって、今後の市場の見方はまったく違うものになります。
多くの市場関係者は、「イールドスプレッドが逆イールド化しても、すぐに景気後退や株安にはならない」としています。これは誤った理解であると考えています。
いまは2000年「ハイテクバブル」と同じ状況
いまは2000年のハイテクバブルと同じ状況です。
当時は、まず10年債利回りが株価のピークにやや先行して高値を付け、低下に向かいました。2年債利回りは金利上昇を見込んで上昇し、ピークを付けたのは5月です。そして、株価は3月にピークをつけています。
つまり、10年債利回り、株価、2年債利回りの順にピークをつけています。この結果、イールドスプレッドは縮小し、2000年1月に逆イールド化した後に株価が3月にピークアウトしています。
今回は、2年債利回り、10年債利回り、株価がほぼ同時にピークをつけています。
その中で、債券利回りは両方とも低下する中で、10年債利回りの低下が大きいことで、結果としてイールドスプレッドが縮小しているわけです。これは、かなりネガティブなパターンです。
金利低下は景気鈍化、株価下落のサインです。証券関係者がなぜこれをポジティブに捉えるのか、まったく理解できません。
株価が上がってほしいからでしょうか。しかし、常識的に考えれば、やはり株価は上がらないでしょう。まずは調整が必要なほど、米国株は歴史的な割高圏にあるからです。
経済指標をみると、2000年のハイテクバブル時と本当に似ています。住宅や設備稼働率、設備投資額指数もほとんど同じ動きです。ここまで似ていると、いまの市場に対して強気になることはできません。