通信障害、料金値下げ…後ろ向きのニュースは続くが
通信会社ソフトバンクの長期的な見通しはどうでしょう。足元では良くないニュースが続きます。
12月6日に発生した通信障害は、スウェーデンのエリクソン社製の部品に問題が生じていたことから発生しました。必ずしもソフトバンク固有の問題とは言えなさそうです。
通信障害はどの会社でも起こりえます。今回たまたまソフトバンクに当たっただけで、他の会社で起きてもおかしくなかったことだと考えます。
ただし、万が一ソフトバンクにばかり続くようであれば、会社に問題があるということになり、客離れは免れないでしょう。
それ以上に大きな問題が、政府による料金引き下げ要請です。政府は携帯電話料金を現在の4割引き下げられるとし、ドコモもそれに呼応する動きを見せています。
しかし、これを額面通りにとらえてはいけません。携帯電話会社は、これまで割高な通信料の一方で、端末代金を割り引いてきました。したがって、通信料を引き下げるなら、今度は端末代金の割引をなくせば良いという話になります。
その結果、料金を引き下げても、携帯キャリアの収入はトントンになるはずです。
これまで端末料金を引き下げていたのは、キャリア間で顧客獲得競争に明け暮れていたからでした。しかし、市場が飽和してその必要性がなくなり、革命児だったソフトバンクもすっかりおとなしくなっています。寡占状態となった市場では、競争せずに甘い汁をすするのが最適解です。
競争の活性化を期待されて楽天が参入しますが、すでにKDDIと提携し、あまり業界を覆すようなことはできないでしょう。結果的にはソフトバンクがY!モバイルを持っているのと大きく変わらないのではないかと考えます。
誰もが携帯電話を手放せなくなり、なおかつ寡占市場である携帯電話事業を悲観する必要はほとんどないと考えます。今後も5GやIoTの進展により携帯通信はますます需要が高まるでしょう。情報技術が進展すればするほど、必要な会社としての立場がより強くなると考えます。
もっとも、急激な成長が見込めるわけでもありません。普及率はほぼ飽和状態であり、需要増の見込みは限定的です。格安キャリアの台頭や5Gの投資コストを考えると、利益を削られるリスクを抱えています。当面は、小幅の需要拡大と利益率の低減が続くことになるでしょう。
ダイナミックな動きはありませんが、一方で確実性は高いと言えます。そこから安定した配当があれば、比較的限られた株価変動の中で手堅い配当収入を得続けることができるでしょう。手堅い人にとってはおすすめの投資対象と言えます。