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通信障害で嵐の船出、ソフトバンク上場は成功するか?過去最大2.6兆円も不人気のワケ=栫井駿介

当面の値動きには期待できないが、配当利回りが高く下値は限定的

一番大変なのは、こんな状況でも株を売らなければならない証券会社の営業員ですが、初値やその後の株価の動きは投資家にとって重大な関心事です。

一般的なIPOでは、抽選で外れた投資家からの根強い需要が見込めますから、初値や当面の株価は公開価格を上回ることがほとんどです。すぐに上がるからこそIPOの抽選倍率は高くなり、倍率が高くなるほど株価は上がりやすくなります。

しかし、今回のように低い倍率であれば、買いたくても買えなかった人がほとんどいない状況のため、上場後の買いがあまり見込めないということになります。したがって、初値やその後の短期的な値動きにはあまり期待が持てないということになります。

一方で、通信会社であるソフトバンクの最大の売り文句は、安定したキャッシュフローを裏付けとした高い配当利回りでした。配当性向を85%の高水準に設定し、予想配当利回りは5.0%にのぼります。これは、同業のNTTドコモ<9437>やKDDI<9433>を上回る水準です。

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同じ5%を超える配当利回りでも、例えば6%超の日産自動車<8201>は景気によって利益が大きく変動するため、減配も起こりやすくなります。その点、通信事業は利益が安定しているため、減配される心配が小さいと言えます。

このように考える投資家も少なくないことから、少しでも値下がりすると、高い配当利回りを目的とした需要が見込めます。例えば、株価が1,250円まで下がれば配当利回りは6%となり、かえって強い需要が見込めるでしょう。安定した配当は株価の下支え要因となります

あなたが短期の値動き重視の投資家なら、当面の購入はおすすめできません。期待するような値動きにはならないでしょう。

一方、配当目的の長期投資家なら、公開価格で買っても、下がってから買っても、安定した配当を受け取りながら黙って持ち続ければ良いということになります。配当が続く以上、下値は限定的です。

Next: 長期の見通しは? 通信障害、料金値下げほか後ろ向きのニュースは続くが…

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