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国民全員が負担することになる「異次元緩和」の隠れたコスト=近藤駿介

虫が良すぎる財務省。個人国債は安全なのか、危険なのか?

8日付の日経に「個人国債」の広告が載っている。広告主は財務省。

個人向け国債の広告にはいつも「安全」「手軽」「選べる」というコピーが添えられている。

財務省は日本の財政赤字はGDPの2倍以上あり、消費増税が不可避だと言っている。要は、消費増税をやらないと財政破綻のリスクが高まり、国債の償還もままならないということ。

しかし、その国債を発行するにあたり「安全」だと宣伝している。「増税してあげますから安全ですよ」ってことか。

消費増税の際には今にも財政破綻するかのような「危険」を煽り、国債発行時には「安全」を謳う財務省の主張にどこからも疑問の声が上がらないのがこの国の不思議なところ。

マスコミお得意の「国債の発行残高は1000兆円を超え、国民一人あたり800万円の借金を背負っている」という主張が正しいのであれば、個人が国債を購入することで、国民一人あたりの借金は増えることになる。

購入をするともれなく「借金」が付いてくる投資商品は、世界広しといえども日本国債くらいしかない。あのギリシャ国債も紙屑になることはあっても「借金」は付いてこない。

しかも、日本国債を購入すると「借金を子供の代に残さないよう約束通り元利金を返済して貰いたければ増税に応じろ」という脅迫文まで付いてくる。

「借金」を背負うことが分かっていて国債を買うバカがいるだろうか。

「国民一人あたり800万円の借金を背負っている」というのがウソなのか、「安全」というコピーがウソなのか、落ち着いて考えてみて欲しい。

【関連】異次元緩和は失敗だった。クルーグマンの『Rethinking Japan』を読む=吉田繁治

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近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2015年11月8,15日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動してきた近藤駿介の、教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝えるマガジン。

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