アメリカ株式市場は半値戻しとなり、2020年景気後退説や2019年バブル崩壊説が大きく後退。日本でも、黒田日銀の「追加の金融緩和」期待など強気派が復活しています(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)
※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2019年2月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
中国をはじめ、日米欧が政策総動員相場の始まり
アメリカ株式市場では「半値戻し」は「全値戻し」
2019年、日米欧および中国の政策当局による「政策総動員」相場が、いよいよ本格的に始まっています。今後、中国北京政府は、「死にものぐるい」で景気刺激策を打って来るでしょう。中国政府は「永久債」発行も検討し始めているようです。
習近平共産党政権は、サイバー空間を最大限に利用した「警察国家」を完成させてしまいました。今後はバズーカ砲を連打、将来「インフレを巻き起こしてでも」、中国共産党政権の体制維持を堅持する「決死の覚悟」を決めたようです(中国人民は悲しいですね~)。
いろいろと漏れ伝わっているところによれば、習近平政権は3月1日をタイムリミットにしている米中通商協議では、トランプ政権に「花を持たせる形」で大きく譲歩してくることでしょう。
日米欧の先進各国は、今後は協調して、「緩和マネー発動」を示唆したり言及したりして、「中国からの強力なデフレ圧力」から、自国経済を防衛してゆくことでしょう。これは、「資産インフレ(株式ブーム)を利用してデフレの鬼と戦うIMFコンセンサス」への揺り戻しです。
1月30日に、パウエルFRB議長は「新しい金融緩和策」を発表しました。すなわち、政策金利の引き上げを棚上げして、しかも「バランスシートの縮小計画」も近いうちに棚上げすることを発表しました。グローバルな株式市場に、リスクオンの流れが戻ってきました!
31日のアメリカFOMCに先だって、1月24日のドラギECBは、「TLTRO(量的的金融緩和策の一種)」へ言及しました。これを境に、ユーロ圏の株式市場も、上昇基調へと転じ始めています。
この「LTLRO」は、「ECBがターゲットを決めて問題国の銀行に長期マネーをファイナンスする」こと。
TLTROは、ギリシャやイタリアなどの「財政の問題」を抱える国にとっては「恵みの雨」です。ユーロ圏の問題国の長期金利は低下を始めました。「イタリア・リスク」、「ギリシャ・リスク」は大きく後退しています。
さて、2月1日発表の「アメリカの1月の雇用統計」の中身は、後述するように、株式市場にとっては「絶妙に素晴らしい」内容のものでした。
先週までの貞子メルマガは、アメリカ株式市場については、「S&P500ならば2,650ポイントから2,850ポイントを目指すだろう」としていましたが、これを上方修正します。
今後ともアメリカ国内の長期金利が低位で安定するならば(この前提がとても大事なのですが)、S&P500は2,750ポイントから3,000ポイントを目指すことでしょう。
「半値戻しは全値戻し」です。
もちろん、2018年と同様に、2019年のアメリカ株式市場は、今後はアメリカの長期金利の上昇次第で、上にも下にも10%前後は乱高下する「レンジ相場」になることでしょう。
一方、2019年に入ってから、新興国市場への資金の流入が大きくなっています。
これは、
・新興国株が信じられないような低い水準にまで売り込まれていたこと、
・ドル安基調の元で、新興国群の通貨に上昇圧力が加わっていること、
・一部の新興国では景気が上向いていること、などの要因が、大きいです。
中国人民元も元高基調へ。
ブレグジットでイギリス議会は見苦しいほどの迷走を続けています。目下のところ、「ハード(合意無き)ブレグジット」の可能性は10%~15%程度と、とても低いです。
「ブレグジット」は、「ノーブレグジット(=ブレグジット無し。半年か1年先送りされるか、あるいは再度の国民投票でEUに戻る)」になる可能性が大です。
しかも、10%~15%の確率で、想定外に「ブレグジットが起きたとしても、株式市場への影響は軽微でしょう。イギリス経済は大きく失速するでしょうが、個別の上場企業は、2年近い猶予時間があったので、既に「ブレグジット」対策がほぼ完了しています。株式市場への影響は比較的軽微なのではないでしょうか?
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