中小小売店と手数料の問題
そして、PayPayのコマーシャルも大きく変わりました。いま強調しているのは、小さなお店でPayPayが使えるとか、加盟店を増やそうというメッセージです。
そのターゲットは、一般消費者ではなく、店舗です。店舗といっても大手や中堅のチェーン店ではなく、商店街に多い個人経営の店となっています。
いよいよPayPayは、商店街に向けて本格的な加盟店開拓を始めたといってよいでしょう。
先日、私の事務所がある高田馬場の行きつけの床屋に行くと、ドアの横にPayPayのステッカーが貼ってあり、PayPayが使えるようになっていました。これまでは現金払いだけでしたが、いよいよキャッシュレスに乗り出したのです。主人はニコニコして「手数料が3年間無料だからね」と満足そうでした。
こうした中小の店は、手数料がネックとなっています。クレジットカード・電子マネーの手数料は3〜6%ですが、それを支払うと、儲けがまるまるなくなってしまうからです。
それで20年もキャッシュレスには背を向けてきたのですが、最近になって、便利な決済ツールが出てきて注目しているのです。それがPayPayなどの「QRコード決済」です。仕組みが簡単なので、手数料も低く抑えることができるのです。
第1弾「100億円あげちゃうキャンペーン」でPayPayの存在を知った全国の人たちは、なかでも個人商店の店主たちは、いま、このQRコード決済に熱い視線を向けています。
なんせ、悩みの種だった手数料がなくてもキャッシュレスを体現できるからです。
「手数料が3年間無料」というサービスでキャッシュレスの壁を取り払ってくれるので、今後個人商店の多くがこちらのQRコード決済に加入するようになるでしょう。
大手・中堅はクレカ&電子マネー。個人商店はQRコード
そして数年後には、大手・中堅チェーンの多くは電子マネー、商店街の個人商店はQRコード決済と、棲み分けが進んでいくのではないかとみています。
実際、高田馬場商店街の定点観測でも、すでに大手チェーン店はクレジットカード&電子マネー共用端末の設置は終えています。昨年から中堅チェーン店も電子マネーを入れて共用端末の設置は終えつつあります。残りは商店街の個人経営の商店だけですが、これがすでに述べたように、手数料の問題で取り残されてきたというのが実情です。
私は、いずれは中堅チェーン店に入ったのと同じ電子マネーの端末が個人商店にも入るだろうと思っていましたが、初期導入費用なども加わるので、なかなか難しいというのが実感です。
そうなると、やはり発想のまったく違う「QRコード決済」を入れた方が適合するのではないかと思いますし、そちらに進むべきと思います。