GDPにはマイナス
10連休は5月の生産活動、4-6月のGDP(国内総生産)にはマイナスに働きそうです。
GDPは付加価値生産額の合計になりますが、多くの企業や労働者が休みとなることは、その間の付加価値生産が止まることを意味します。
もちろん、連休中もむしろ「かき入れ時」とする業界もありますが、そこでの生産能力には限界があり、「増産」にも限度があります。
一方、製造業などでは連休中に工場を閉じた分、その前後に増産してカバーするとしても、もともと人手不足などで供給制約が強いと、増産余力が限られ、10連休の穴は埋まりません。特に季節性に左右される商品は、その時期に生産しないと、代替が効かないものもあります。
またスーパーなど小売店の多くは、パートなど非正規労働への依存度が高く、学校や幼稚園が休みで子どもが家にいると、仕事に出られない親が多く、小売店もたちどころに人手不足で営業ができなくなるケースが増えます。
非正規労働が4割近くに達し、時間給制度の労働者は、働けなくなると所得が減ります。連休中にATMの現金補充がなされないと、紙幣不足でお金をおろせず、消費ができなくなるリスクもあります。
公共機関や製造工場の休みが多くなれば、それだけ付加価値生産(GDP)が減り、それを他の日の増産ではカバーしきれず、旅行、観光需要も、キャパシティの制約から、かき入れ時の増産が効きません。
結局、働かずに休む人が多い分、生産やGDPが落ち込むことになります。1-3月のGDPがマイナス成長となりそうなので、4-6月が大型連休効果でまたマイナスになると、「景気後退」となりかねません。
市場は動きやすい
もう1つ気を付けなければならないのが、大型連休の時にしばしば市場が、つまり株価や為替相場が大きく動くことがあることです。
東京市場が祝日で閉鎖されているすきに円相場を動かす「市場の鬼」がいることは知られていますが、今回は10連休となるだけに、日本の投資家が動けない時期を狙って仕掛けてくる投機筋に警戒が必要になります。
当然そのリスクを取りたくない投資家は、連休前にポジションを落として休みに入ると見られます。
その場合、リスクオンで今株などの買い持ちが大きい場合は、連休前にまとまった売りが出るでしょうし、円などの売り持ちが大きければ買い戻しが起きやすくなります。
連休中もさることながら、大型連休前には、ポジション調整が出て、相場か動きやすくなります。この1週間は要注意です。