まもなく始まる10連休のGW。世論調査によると「嬉しい」は少数派であることがわかり、経済的にも政治的にもマイナスポイントとして働きそうです。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年4月19日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
旅行業界を中心にインフレ発生。望まれないGWがもたらす弊害は
世論調査は”嬉しくない”が多数
今年のゴールデン・ウイークは、新天皇の即位にともない、カレンダー上は10連休となります。その始まりが4月27日に迫っています。
このことについて、時事通信社が3月に行った世論調査が、政府にはショッキングな結果となっています。つまり、「嬉しくない」が41%、「関心がない」が21%を占め、「嬉しい」は少数派となっていました。
嬉しくない理由は、そもそも「仕事をしていないので関係がない」が28%で最多、ついで「休めそうにない」が19%、「家事などの負担が増える」が11%、「仕事に支障がある」が10%となっています。
また、「政府が主導して長期連休を作るべきか」の問いには、3割弱が賛成したのに対し、67%が反対しています。
確かに、高齢化で無職世帯が増えていることは、総務省の「家計調査」などで確認でき、今更連休と言われても、「毎日が日曜日」世帯にとってはありがたみがないことも事実。
むしろ、長期連休で日常生活面に不便が生じることへの懸念が指摘されています。長期休日で市場が閉じてしまうと生鮮食料品が入るのか、病気になっても病院が休みではどうしたらよいのか、などなどです。
部分的超インフレの出現
10連休の恩恵を最も受けているのが旅行業界。さすがに10連休となれば、海外旅行でも、と考える人が殺到したようで、連休期間中の航空運賃、パック旅行代金が跳ね上がりました。
例えば、この期間中の「東京-ホノルル」間の航空運賃は1人50万円をつけるなど、通常の時期の2倍以上で、ビジネス料金かと疑ってしまいます。ハワイ5日間のパック旅行代金も1人50万円を付けました。
この高額料金でも行ける「富裕層」は良いとしても、一般庶民はこの料金を見て躊躇、他の時期に休みを取っていけば、半分以下のコストで行ける、として諦める人も少なくなかったようです。
そもそも、50万円を出しても満席で、チケットが手に入らない「ボトルネック」も発生していました。
4~5月の消費者物価では、パック旅行代、航空運賃、宿泊代、などで大幅な「インフレ」が現れそうです。