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安倍政権は早くも参院選モード~最後の切り札は日銀サプライズ緩和か?

ウラ目に出るかもしれない自民党の「再配分」政策

しかし、これらには副作用もあり、必ずしも自民党の得票に結びつくかわかりません。例えば、法人税減税の財源確保のために、赤字企業からも税金をとる外形標準課税の強化を考えています。

このメリットを受ける企業は納税している企業で、全体の3分の1にすぎず、逆に7割の赤字企業は増税になり、自民党に反発します。

さらに、最低賃金を今の時給800円弱から毎年3%引き上げ1000円にしたいと言いますが、低賃金労働者には朗報であっても、最低賃金でしか雇えない中小零細企業には死活問題です。

外形標準課税でとられ、最低賃金を引き上げられれば、赤字で辛うじて生き延びる企業は廃業を余儀なくされます。彼らの多くは自民党支持でした。

日銀のサプライズ緩和期待が再燃

先週、日銀の黒田総裁はパリに出張し、あわせて通貨マフィアの会合ともいわれるG30にも出席したようです。ここでしばしば金融政策への要請がくるのですが、一部にここで追加緩和の要請があったとの見方があります。

FRBの利上げに対する後始末かもしれませんが、選挙前に株価を上げておきたい政府も、円安に目をつむる可能性があります。

これまでワシントン、永田町ともにドル高、円安を嫌がって日銀の動きを封印していた面があり、市場の期待もしぼんできました。ところが、G30が動き、官邸も参院選を前に株を上げておきたいとすれば、近いうちに日銀がサプライズの追加緩和を打ち出す可能性が浮上したことになります。

その場合、短期的には円安株高となる可能性があります。

もっとも、選挙を意識して後先を考えずに動けば、その反作用、副作用がいずれ出てきます。選挙前に無理をすれば、選挙後の相場反落が大きくなります。なんでも先取りする時代ゆえに、これらのタイミングがより前倒しになって表れる可能性もあります。

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マンさんの経済あらかると』(2015年12月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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