コンビニの価値開発
コンビニは全国5万5,000店、総年商12兆円(1店平均2.2億円)、海外にもアジアを中心の8万店増えています。
こうしたコンビニ顧客の増加は、何によって起こったのかを考えねばなりません。
第一の要素は、
・80年代から後期からの高齢化(95年が生産年齢人口のピーク:1ドル=79円)、
・2010年からの人口減の中で、
・「増える顧客類型」を顧客にしたことです。
顧客類型とは、時流の中で共通の価値観をもつ顧客グループをいいます。企業は、自社の商品が適合する顧客グループを見つけて、その概念を定義しておかねばならない。
「減少する夫婦+子供世帯」の中で、単独世帯という顧客類型は、37年で4.9倍に増えています。2018年で1,361万世帯、年間平均の増加は4.3%でした。
少子高齢化の中でも、増える顧客類型があったのです。住宅需要でも、都市部では単独世帯用のマンションが増えています。
その顧客類型(単独世帯)のレストランには行かないエコノミカルな中食需要に対して、コンビニは、商品価値として「従来の食の機能・品質÷価格」に対して、「(従来の食の機能・品質+S.S.の購買価値)÷価格」という価値要素を加えました。
「顧客にとっての商品価値での位相差戦略」をとったため、SMより5%~20%価格が高くても売れたのです。
S.S.(ショートタイムショッピング)の購買価値とは、「5分(行き):5分(店内):5分(帰宅)」という時間の価値です。1回600円(お弁当500円+飲み物100円)の買い物では、「10分:10分:10分」のSMでもきつい。
SMでは、ファミリー(3人~4人)の食の需要の1回が2,000円~2,500円の買い物が適合します。ファミリー需要の食は、調理の素材需要がほとんどです。
60歳以上の夫婦2人になるころから3食の調理は減り、単独世帯では1回600円から1,000円平均の食事を3回買い物します。同時に、外食が増えるのです。
1日3回の買い物は、1回が平均1時間はかかる大型SMでは時間の問題から行えないでしょう。
じつは買い物は、店舗側が意識していない「家事労働」です。パートなら1時間を費やし対価として約1,000円の報酬が得られます。共稼ぎが70%になって、主婦も「生活時間は価値である」という意識が出てきました。労働時間は短いほうがいい。これが、S.S.の価値です。レジの待ち時間を我慢しない理由でもあります。
日本のコンビニのオリジナルは、ガソリンスタンド立地の米国「7-11」でしたが、わが国では、単独世帯の3回の個食の需要に適合する「弁当・総菜の開発」によって、独自の発展を遂げています。
原因は、「(従来の食の機能・品質+S.S.の購買価値)÷価格」を、90年代の半ばくらいに発見したからです。
セブンイレブン(平均年商2.2億円)とローソン(1.6億円)の、30%の売上の違いの要因についても触れなければならない。
2つの商品価値の違いがあります。