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セブンイレブンに学ぶ、企業を劇的に成長させた商品の価値開発=吉田繁治

セブンイレブンとローソンでは、売上に30%の差があるのはどうしてなのでしょうか。今回は、その差を生み出した商品の価値開発について解説します。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2019年5月16日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

商品の選択の幅からショートタイムショッピングへ

最初は日本型GMSからはじまった

小売業における顧客にとっての商品の価値開発は、1970年代からは家業店の大型化によって果たされていました。これは、購買行動の面の顧客にとっての価値開発でした。たくさんの商品を同じ場所に並べることで、「商品選択の幅」を広げたのです。

1960年代から先頭に立っていたのは、百貨店価格の約半分の価格帯の商品を売る日本型GMSでした。1980年代までは、商店街の家業店での商品購買は70%を占めていました。日本型の5大GMSは、ダイエー、IY堂、イオン、マイカル、西友です。1970年代にダイエーが三越の売上を超えたのがそのシンボルでした。

GMSの商品価値=(機能・品質+選択の幅)÷価格

日本型というのは、食品を売らない米国のGMSに対して、日本のGMSでは生鮮を含む食品売上が50%くらいを占めているからです。

商品選択の幅では、
(1)部門内の商品構成を家業店の専門化して、ラインロビング(商品の60%が売れる価格帯を取り込むこと)し、
(2)専門化した商品部門を多数そろえる総合化
と、言われたのです。

当時のポピュラー価格帯で「選択の幅=専門化+部門総合化=購買行動に対する価値を高めること」でした。(注)百貨店が、その2倍上のベター価格帯。

しかし
日本型GMSは1980年代まで商店街のはずれに立地し、駐車場には不便
でした。他方で1980年代からは、特に地方で1家に2台が多くなり、主婦の買い物行動も軽自動車を使うものに変わってきたのです。車で買い物をする主婦が、この時代の新しい顧客類型だったのです。

郊外ショッピングセンターの時代は1990年から

商店街とそのはずれの単独GMSからは離脱した新しい客のため、1990年代からは土地価格の安い郊外の立地に広い駐車場を併設した、ショッピングセンター(S/C)が作られ、代わっていきました。

平均売り場面積5,000坪:売上100億円:売り場1坪当たり売上200万円:テナント数の平均は、14店の飲食・サービスを含んで45店です。

S/Cは、
(1)都市部では、1990年には12兆円だった百貨店から5兆円の売上を移動させ、
(2)郊外では、かつて70兆円も売っていた、8,000か所の商店街(平均店舗は40~120店)の95%をシャッター通りにしています。

1990年代からわが国の消費需要は金額では増えていないので、こうした「買いもの行動の業態間移動」が起こったのです。(注)ただし、例えば衣料で言えば、1990年の26億枚が40億枚になるという商品数の増加は起こっています(売れ残りバーゲンが20億枚か)。しかし衣料でも、商品単価は1/3~1/4くらいに下がったので、需要金額では半分です。

2019年の全国ショッピングセンターは、3,217か所。合計売上32兆円(小売総額100兆円の32%)を占めています。

ひとつのS/Cの平均商圏人口は4万人です(商圏人口ではコンビニ20店分、SM 6店分)、テナントが45店のS/Cの平均売上は100億円です。4万人の商品需要は約300億円ですから、S/Cの販売シェアは地域で33%ともっとも大きい

いまも1年間で、50~60か箇所(1.6%:総売上で5,000億円~6,000億円)くらいの新S/Cの開発が行われています。つぶれるのも同じほぼ数であり、3,200か所から総数は増えなくなっています。

<米国の先例>

米国の「車での買い物」を真似たのが、わが国90年代からの郊外S/Cです。

米国では、
(1)ディスカウント型のパワーセンターを含む、大型S/C以外には、
(2)ドラッグストアと、
(3)近隣型S/CのSMしか、店舗がないといっていいでしょう。SC数は、3万か所です(平均商圏は1万1,000人/1SC)。

<商品選択でのワンストップの価値提供>

ショッピングセンターでは「商品選択のワンストップの価値提供」として、衣・食・住・エレクトロニクス、飲食・サービスの全部の消費財を扱います。

「商品選択でのワンストップの価値提供」は単独立地にくらべ、ほぼ30%、単位面積当たり売り上げを大きくしました(全国総平均の坪当たり売上200万円)。この分が、テナント料や電気料だったのです。

核店舗として、集客力が弱かったGMS(ダイエー、マイカル(ニチイ)、西友(現在はウォルマート))は、「商品価値の革新(イノベーション)」がなくなることが多い創業から30年で事実上、潰れていきました。

<2010年からの人口減の影響は、地方都市の郊外から始まっている>

現在は3,217か所のうち、郊外の人口減少地帯(商圏人口:年0.6%減)にあるS/C(約40%:1,300か所:13兆円)は、2010年ころから前年比の売上が減り始めています。

Next: コンビニが爆発的に増えた背景になにがあったのか?

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