収益性低下を加速させた日銀のマイナス金利政策
銀行というのは、規模が大きければ資金量もあって貸出先も豊富でそれなりに儲かる商売という、安易なイメージが市場にも利用者にも定着化しているように思われます。
実際は、長短の金利差があってはじめて成立する商売であり、先進主要国を中心にしてリーマン・ショック後に中央銀行が中心となって緩和政策を大幅に拡大し、ほとんどゼロ金利を強烈に推進した結果、国を問わず銀行業務は非常に窮地に立たされているのが現実です。
リテール銀行であればあるほど、その収益率は下がる一方になっており、日本の地銀もまったくそれに違わぬ状況に追い込まれていることがわかります。
ダメな銀行をくっつけても、やっぱりダメ
したがって、ダメな銀行を統合してみても収益性が上がるはずもなく、一時的には生き残ったかのように見えても、じきにまた経営問題が顕在化してくるものと思われます。
とくに日本では、アベノミクスとやらが始まったのと時を同じくして日銀が強力に推し進めた未曽有の金融緩和政策は、地銀に限らずすべての銀行をかなり疲弊化させていることは事実でしょう。
メガバンクですら自社のATMのネットワークを維持するだけのコストを負担できないという驚くべき状況に陥っているわけですから、地銀の具合が悪くなるのは当然の状況といえるわけです。
その当事者である日銀の分析では、現在ある地銀のほぼ6割は今後10年で最終赤字に陥る見通しで、なんとか消滅する前に統合化することで絶滅を防ぎたいという焦りも感じられます。
しかし、ダメなものを統合化してみてもなんら状況は変えられず、異なるビジネスモデルを創出しないかぎり、早晩、地銀は消えていく運命にあることを強く感じさせられます。