金利が上昇したら既存税収だけでは対応不能
さて、ここからがいよいよ本題となります。
安倍首相は、大切なのは実体経済を良くすることで、金融政策が雇用に働きかけ、デフレではない状況を極めて短い間で達成することができたとしています。
しかし実際には経済は決して良くなっておらず、デフレも完全に抜け出せたわけではない点が非常に気になるところです。
とくに、ここ30年ほとんど金利がつかないゼロ金利政策をとってきたことで、政府はいくら国債を乱発してもほとんど借金の金利を負担しないままに負債を大きくさせてきたことから、利払いの恐怖というものをすっかりお忘れのようです。
しかし、財務省が2017年に出した試算でも、金利がここから1%上昇すれば利払い費を含めた国債費は2020年度で3.6兆円増、2%上昇すれば7.3兆円増になります。
仮に3%の経済成長がはかられても、6.4兆円の赤字になると試算しているわけです。
追加の増税はありえる
今のところ、そこまでの金利上昇がにわかに起こる可能性は低くなっています。
しかし、もしスタグフレーションのような状況に陥れば、日本も利上げを行わざるをえず、また外的な要因で米国をはじめとして他国で暴落のような事態が発生して金融パニックになれば、日本国債もどうなるかはまったくわかりません。
そして金利の上昇が続けば、足元の税収ではとても利払いができなくなり、さらなる借金か増税がめぐって来る可能性はまったく否定できない状況にあると思われます。
財政ファイナンス漬けでぼけたのか?
平成の30年間、政府はほとんど赤字国債の利払いをせずに済んできています。
足元の日銀黒田緩和による国債買い入れというほとんど財政ファイナンスに近い状態につかり過ぎて、金利のことがまったく頭に浮かばなくなっているとしか思えない状況です。