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2019年秋のGDP低下で…ドイツ銀行が抱えるリスク、デリバティブ契約は銀行平均の8.3倍=吉田繁治

預金のペイオフの上限は、242万円と低い

ドイツにも、銀行が破産したとき預金の引き出しを保証するペイオフの制度はあります。上限は、2万ユーロ(242万円)であり、日本のペイオフ(1銀行で1,000万円が上限)よりはるかに低い。ペイオフでは、米国が上限10万ドル(1,100万円)、英国が最大3万1,700ポンド(427万円)です。日米が高く、欧州は低い。

企業等の決済性の預金(金利のつかない当座預金)は、銀行が破産しても政府が全額を補償します。企業の、大きな支払いに対してペイオフをすれば。経済が回らなくなるからです。

10ユーロ以下の大手銀行株

ユーロの銀行の株価では、10ユーロ台以下は経営破産を示す水準でしょう。

銀行は、公表するバランスシート(B/S)は、いつも正常としかしません。世界中の銀行で不良債権の自己開示はない。実質的に不良債権であっても、自己評価はしないのです。

外部から検査するしかない(これがストレス・テスト)。投資家は、不良債権を推計して、株価を6ユーロの破産水準に下げています。ストレス・テストにも、危機の銀行に対しては、政府と銀行間で取り付けをふせぐための「お手盛り」があるからです。

【海航集団の王健会長の、不審な死】

ドイツ銀行の大株主は、中国の航空会社グループというより、共産党が直轄している海航集団になっています(7.6%の持ち株)。ドイツ銀行の貸付が中国にも多いからです。

海航集団の王健会長(56歳:共産党員)は、フランスの海につづく15メートルの断崖で、なぜか不自然に、写真撮影のためのポーズをとっていたとき脚を滑らし転落したとして死亡しています(19年7月4日)。落ちる危険のある、危ない断崖で写真を撮る人がいるでしょうか?

奇妙な事故です。海航集団の負債は、7,400億元(12.3兆円)と言われ、資金繰りに窮しているとされます。王健会長は、習近平主席の盟友である王岐山国家副主席と、共産党内で深い関係がある人と言われます。

ドイツと南欧の大手銀行の株価は、軒並み、破産水準

ユーロの大手銀行の株価は、共通に低くなっています(19年7月)。左が2007年以降の最高価格の水準、右が現在の株価です。

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フランス BNPパリバ     80ユーロ → 43.2ユーロ
イタリア ウニクレディト  374ユーロ → 11.7ユーロ
イタリア モンテパスキ   566ユーロ → 1.6ユーロ
スペイン サンタンデール  14ユーロ → 4.2ユーロ
ドイツ コメルツバンク   300ユーロ → 6.6ユーロ
ドイツ ドイツ銀行     100ユーロ → 7.2ユーロ
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フランスの最大手BNPパリバは、若干ましです。

しかし、イタリアのウニクレディト(11.7ユーロ)、モンテ・デイ・パスキ・デイ・シエナ(1.6ユーロ)は、破産水準の株価です。スペインのサンタンデールも4.2ユーロでしかなく、破産水準です。

【コメルツ銀行もバッド・バンク】

ドイツ銀行との合併が進んでいたコメルツバンクも、株価が6.6ユーロであり、これも破産水準です。ドイツ銀行と合併しても、救うことはできなかった。バッド・バンク同士の合併だからです。

株を買う投資家は、見誤れば損をするので、銀行バランスシートと損益計算書に隠れた嘘を見抜いて、真剣に価格をつけています。

その国の大手銀行は、資産の検査をする政府・中央銀行とも一体であり、中国の銀行のように、不良債権を進んで公表することは、ないからです。

Next: 世界経済の行方を握る鍵は、英国のユーロ離脱と米中貿易戦争

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