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2019年秋のGDP低下で…ドイツ銀行が抱えるリスク、デリバティブ契約は銀行平均の8.3倍=吉田繁治

デリバティブ契約が、歴史上でも世界1大きなドイツ銀行

ドイツ銀行が、他の銀行との間に交わしているデリバティブの契約額は、7,500兆円といわれています。世界のデリバティブの総契約額、$544兆(5京9,840兆円)のうち、12.5%と多い。

(注)7,500兆円の負債というわけではありませんので、念のために。7,500兆円は、デリバティブをかける対象(原資産)となるマネーの契約の増額です。

【デリバティブが他行の8.3倍】

ドイツのGDPは3.7兆ドル(407兆円)であり、世界の5%です。ドイツ銀行の資金量(1.77兆ドル:195兆円)のシェアはドイツ国内の30%くらいでしょう。

そうすると、世界の銀行での、ドイツ銀行の資金量のシェアは「5%×30%=1.5%」くらいです。資金量で1.5%のドイツ銀行が、デリバティブ契約では8.3倍の12.5%(7500兆円)です。平均的な銀行の8.3倍のデリバティブ契約です。

ドイツ銀行がデリバティブに奔走した理由

どうして、こんなに異常なことになったのか?というより、首脳が、なぜデリバティブ契約を推進したのかということです。

【ドイツ国内のユーロのゼロ金利】

第一の理由は、リーマン危機のあとの、ECBによるユーロのゼロ金利策です。マイナス金利でも、2016年かの日銀に先行しています。

金利が低いと、0.5%から1.5%の銀行の貸付金利では収益が出ません。このため、金利、通貨、株価の上昇または下落の予想に依存するデリバティブ契約を増やしたのです。

【補償保険のCDS、CDOの発行、売却を増やした】

2番目の理由は、貸付債権、債務の、回収を保証するCDS、CDOを多く作って、世界の銀行に売却したことです。目的は、金利に代わる、数%~10%の保険料の収入です。

ある債務にCDS(保証保険)をかけると、その債務の連帯保証をしたことと同じになります。

【CDS、CDOは、債務の連帯保証】

企業が借金や社債を返せなくなったとき、ドイツ銀行が、代わって返済しなければならない。ただし、その債務が不良化しないときは、数%の保険料が収入(ドイツ銀行の利益)になります。

【リーマンとAIG】

リーマン危機のときは、AIGとリーマンブラザースが、住宅・不動産証券(MBS、ABS)に、大量のCDSをかけていました。住宅・ローン・不動産ローンのデフォルトが増えていったとき、AIGとリーマンブラザースは、保険金の支払いができなくなって(デフォルト)、2週間で破産しています(08年9月)。

このデフォルトは、CDSを買っていた銀行の損失に連鎖し、カウンター・パーティー(契約の相手)の銀行も、同時破産になったのです。2008年9月の当初、100兆円の不良債権の発生と言われましたが、後に、400兆円くらいに拡大しています。FRBは、これを公表していません。

ドイツ銀行のデリバティブ契約(7,500兆円)の中で、いくらがCDSやCDOの契約か、公開されていません。推計では、500兆円以上はあるでしょう。金利スワップや、外貨交換も、利益と得るため、高いリスクの契約が多いでしょう。

Next: 危険なのは2019年秋、ドイツ銀行が破産したとき政府は救済するか?

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